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試作と量産の狭間で泣く図面たち。「数十〜数百個」の中量産加工において、劇的なコストダウンを生み出すプロのプロセス設計

開発、設計
5軸マシニング加工
NC旋盤加工
2026.05.13


▼ こんな方に読んでほしい

・ 月に50個〜500個程度の部品発注が必要だが、試作専門業者からは単価が高すぎると言われ、量産専門業者からは「ロットが少なすぎる」と断られて途方に暮れている購買・調達担当者
・ 単品モノの試作が終わり、いよいよ市場投入に向けた初期ロット(中量産)の生産を立ち上げたいが、予算の壁にぶつかっている事業開発・設計エンジニア
・ 柔軟な生産体制と、確実な品質保証を両立できる「ちょうどいい規模」の頼れる加工パートナーを探している工場長

 

 

 序論:1個なら作れる。1万個でも作れる。では「100個」はどうするか?

皆様、こんにちは。株式会社関東精密の杉田です。

モノづくりの世界において、部品の「数(ロットサイズ)」は、加工の難易度やコストを決定づける極めて重要な要素です。
私たちは日々、様々なお客様からお見積もりのご依頼をいただきますが、実は購買担当者様が最も外注先探しに苦労し、コストダウンの壁にぶつかる「魔のロット数」が存在します。

それが、数十個から数百個、多くても数千個にとどまる「中量産品」です。

1個や2個の「試作」であれば、職人が付きっきりで手作業で芯出しをして削り上げます。
逆に10万個の「大量生産」であれば、数千万円かけて専用のラインや金型を作り、1個あたりの単価を限界まで下げることができます。

しかし、「毎月100個」という中途半端な数はどうでしょうか。
試作と同じように職人が1個ずつ手作業でセットしていては、加工費が高騰して予算に合いません。かといって、100個のために何百万円もする専用の自動機や金型を作るわけにもいきません。

試作屋には高すぎると言われ、量産屋にはロットが少ないと門前払いされる。
本記事では、この「試作と量産の狭間(死の谷)」に落ちてしまった中量産品を、圧倒的なコストパフォーマンスで救い出す、私たちプロのプロセス設計についてお話しします。

 

 

 中量産のコストを支配する「段取り時間」の分散

中量産品のコストを劇的に下げるための最大の鍵。それは「段取り時間(機械を動かしていない時間)を、いかに薄く分散させるか」に尽きます。

例えば、マシニングセンタで1つの部品を削るのに「5分」かかるとします。
しかし、その部品をバイス(万力)にセットし、基準を出し、終わったら取り外して掃除をするという「段取り」に「3分」かかっているとしましょう。

1個ずつ加工した場合、100個作るのにかかる時間は以下の通りです。
・ (加工5分 + 段取り3分) × 100個 = 800分

ここで、中量産における最強の武器「多数個取り治具」が登場します。

 

 

 自社製「多数個取り治具」がもたらす魔法のコストダウン

過去の記事でも治具の重要性をお伝えしましたが、中量産においては「一度に複数の部品を掴める治具」がコストダウンの絶対条件となります。

株式会社関東精密では、100個のオーダーをいただいた際、1個ずつ削るような愚直なことはしません。まずは、アルミの無垢材から「10個の部品を一度に、ワンタッチで固定できる専用治具」を自社で設計・削り出します。

この治具を使うと、計算式は魔法のように変わります。

10個の部品を治具に並べてセットするのに、専用クランプを使えば「5分」で終わります。
そして機械の扉を閉めれば、機械は10個の部品を連続して削り続けます。
ここで重要なのは、「工具交換(ツールチェンジ)の時間が1/10になる」ということです。

1個ずつ削る場合、ドリル→エンドミル→タップと、1個につき3回の工具交換が発生します(100個なら300回)。
しかし10個並べて削れば、ドリルで10個すべてに穴を開け、次にエンドミルに持ち替えて10個すべてを削るという動きができます。

結果として、10個を削る時間は単なる「5分×10個=50分」ではなく、工具交換や機械の移動の無駄が省かれ「40分」に短縮されます。

・ (加工40分 + 段取り5分) × 10回(100個分) = 450分

1個ずつ削った時の「800分」から「450分」へ。
実に約45%もの加工時間(=加工コスト)の削減に成功するのです。
これを可能にするのは、外部に治具を発注するのではなく、自社の機械と刃物の特性を知り尽くした職人が、自ら「最速で削るための治具」を設計できる私たちの総合力に他なりません。

 

 

 プログラム(CAM)への「異常な投資」

もう一つ、中量産品のコストを下げるための重要な仕掛けがあります。
それが、加工プログラム(CAM)への時間の掛け方です。

1個しか作らない試作品の場合、プログラムを作るのに1時間かけるのは無駄です。プログラムは粗くてもいいから10分で作り、機械をゆっくり安全に動かして削った方が、トータルでは安く早く仕上がります。

しかし、100個、500個を作る中量産では全く逆になります。
私たちは、1個あたりの加工時間を「数秒」でも削り落とすために、プログラムの作成に異常なほどの時間を投資します。

・ 刃物が空気を切っている「空走距離」を極限まで短くする。
・ 穴から次の穴へ移動する際、Z軸(高さ)の逃げを安全圏ギリギリの「1ミリ」に設定する。
・ 切削条件(回転数と送り)を、刃物が欠けない限界のスピードまでチューニングする。

たった「10秒」の短縮でも、500個作れば「5,000秒(約1.4時間)」のコスト削減に直結します。
1個の単品加工では見過ごされるようなミクロの無駄を、徹底的に洗い出して叩き潰す。この執念深いプログラムの最適化が、中量産における強力なコストメリットを生み出します。

 

 

 無人運転(夜間稼働)という最強のチャージレート

多数個取り治具と、洗練されたプログラム。この2つが揃うと、さらに絶大なメリットが生まれます。
それが「夜間の無人運転」です。

夕方、職人が帰宅する前に、パレットに多数個取り治具をセットし、スタートボタンを押す。
夜の静かな工場で、最新の5軸マシニングセンタやNC旋盤が、最適化されたプログラムに従って朝まで黙々と金属を削り続けます。

人間の作業が介在しない夜間の無人加工は、昼間の有人加工に比べて機械のチャージレート(時間単価)を圧倒的に低く設定することができます。
お客様の部品を「夜間稼働のラインに乗せられる状態(プロセス)」に仕立て上げることこそが、究極のコストダウン戦略なのです。

 

 

 結論:中量産の「最適解」は横浜にあります

「試作の時は1個1万円だった部品を、量産に移行するにあたってなんとか3,000円に落としたい。でも、月産数は200個しかない」

このような、一見すると無茶な要求にこそ、株式会社関東精密は知恵と技術で応えます。

治具の製作費(初期費用)として十数万円をいただくかもしれませんが、それを上乗せしても、トータルの製品単価は圧倒的に下がります。そして一度治具を作ってしまえば、数ヶ月後のリピート発注の際には、さらに安く、さらに早く、全く同じ品質の部品をお届けすることができます。

数百万個の大量生産ラインは持っていません。しかし、数十個から数千個という中量産の「谷」を飛び越えるための、最高の治具設計能力とプログラミング技術を持っています。

試作単価の高さや、ロットの壁でお悩みの購買担当者様、事業開発エンジニアの皆様。
部品のコストダウンに行き詰まったら、ぜひ一度、図面と目標単価を私たちにぶつけてください。
横浜から、皆様のプロジェクトを成功に導く「中量産の最適解」をご提案いたします。

 

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