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表面粗さRa・Rzとは何か?精密切削加工における意味と管理の実際

マシニング加工
コラム
2026.07.06

精密部品の設計図面を見ると、必ずといっていいほど「Ra0.8」「Rz6.3」などの表面粗さ指示が書かれています。この数値が何を意味するのか、そして加工現場でどのように管理されるのかを正しく理解することは、高品質な部品づくりの基本です。

本記事では、表面粗さの基礎知識から、加工方法ごとの達成可能な粗さの目安、そして測定・管理の実際まで、関東精密の経験をもとに詳しく解説します。

表面粗さとは何か:肉眼では見えない凹凸の世界

どんなに滑らかに見える金属面も、拡大すると無数の微細な山と谷が存在します。この微細な凹凸が「表面粗さ」です。表面粗さは製品の機能に直接影響します。

  • 摩擦・摩耗:粗い面は接触面積が減り、局所的な面圧が上がるため摩耗が速くなる
  • 嵌め合い・シール性:軸穴嵌合やOリング溝の粗さが密封性・位置精度に直結
  • 疲労強度:表面の粗さが応力集中の起点となり、疲労破壊の原因になりうる
  • 外観品質:医療・光学部品では見た目の粗さも品質要件になる

Ra(算術平均粗さ)とは

Raは最もよく使われる表面粗さのパラメータで、「算術平均粗さ」と呼ばれます。測定した断面曲線の平均線からの偏差の絶対値を算術平均した値です。

Ra = (1/L) × ∫|Z(x)|dx(Lは測定長さ、Z(x)は各点での高さ)

直感的には「表面の凹凸の平均的な高さ」を表す値で、Raが小さいほど滑らかな面です。

Raの目安と代表的な加工方法

Ra値 面の状態 代表的な加工方法 主な用途
Ra50〜25 荒い(肉眼で凹凸確認可) 粗切削・鋳放し 構造部材・非摺動面
Ra12.5〜6.3 やや粗い 通常の切削加工仕上げ 一般機械部品・非嵌合面
Ra3.2〜1.6 普通仕上げ 精密切削・精密フライス 一般的な嵌合面・軸受け座
Ra0.8〜0.4 細かい仕上げ 精密研削・ホーニング 精密軸受け・シール面
Ra0.2〜0.1 非常に細かい 精密研削・ラッピング ゲージ・精密摺動面
Ra0.05以下 鏡面 超精密研磨・ラッピング 光学部品・超精密摺動部

Rz(最大高さ粗さ)とは

Rzは「最大高さ粗さ」と呼ばれ、測定区間内の最高点と最低点の差(山の高さ+谷の深さ)を表します。Raが平均的な粗さを示すのに対して、Rzは「最も悪い部分」の凹凸を捉えます。

シール面やOリング溝のような「最大の凹凸が問題になる箇所」にはRzの指定が適切です。一般的にRz ≒ 4×Ra(粗さ曲線が正弦波状の場合)の関係がありますが、加工方法によって比率は異なります。

加工方法ごとの表面粗さの違い

同じ「仕上げ」といっても、使用する工作機械・工具・条件によって達成できる表面粗さは大きく異なります。

切削加工(フライス・エンドミル)

フライス加工の表面粗さは、工具の刃先形状と送り量で理論的に計算できます。

理論的表面粗さ(Rth)= f² / (8R)(f:送り量mm/rev、R:コーナーR mm)

例:送り量0.1mm/rev、コーナーR0.4mmの場合、Rth = 0.01 / 3.2 = 0.003mm = Ra約0.8μm程度

研削加工

砥石の粒度・切れ味・スパークアウトの徹底度によって左右されます。一般的な平面研削では Ra0.4〜1.6μm、精密研削ではRa0.1〜0.4μmが実用域です。

放電加工(EDM)

放電条件(パルス幅・ピーク電流)によって粗さが変わります。荒加工ではRa3.2〜6.3μm、仕上げ条件ではRa0.4〜0.8μm程度です。放電面には独特の「梨地模様」が現れます。

ラッピング・ホーニング

極細粒の砥粒を使った超仕上げで、Ra0.01〜0.05μm(鏡面)まで仕上げられます。シリンダー内面の真円度改善にはホーニング、ゲージ面には平面ラッピングが使われます。

表面粗さの測定方法

接触式(触針式)表面粗さ計

先端半径2μm程度のダイヤモンド触針を表面に走らせて凹凸を記録する方法です。最も一般的な測定方法で、Ra・Rz・Rsm(輪郭曲線の平均長さ)などを直接数値で取得できます。ただし測定痕が残るため、鏡面・精密光学面には不向きです。

非接触式(光学式)表面粗さ計

レーザーや白色光干渉を使って非接触で表面形状を測定する方法です。軟質材・粘着性材料・鏡面・微細パターンの測定に適しています。三次元表面形状(3Dデータ)として可視化することも可能です。

図面での表面粗さの指示方法

JIS B 0031(2003年改訂)に基づき、表面性状の要求事項は三角形の記号に数値を付記して指示します。

  • Ra指示の例:√Ra0.8(算術平均粗さ0.8μm以下)
  • Rz指示の例:√Rz6.3(最大高さ粗さ6.3μm以下)
  • 全面指示:図面の右上に「(√Ra3.2)」と括弧書きで全面の基準粗さを指示

よくあるご質問(FAQ)

Q1. Ra0.8とRa0.4では加工コストはどれくらい違いますか?

表面粗さを一段細かくするごとに、加工時間・工程数が増えるためコストは上がります。Ra1.6→Ra0.8で約1.3〜1.5倍、Ra0.8→Ra0.4でさらに1.5〜2倍程度のコスト増が目安です。「本当に必要な粗さか」を機能面から確認することをお勧めします。

Q2. 図面に粗さ指示がない箇所はどの粗さで仕上げますか?

一般的には全面指示(図面右上の括弧書き)が適用されます。指示がない場合はJIS規格の標準(Ra12.5程度)か、加工者の判断になります。重要な機能面は必ず明記することをお勧めします。

Q3. 鏡面(Ra0.05以下)の加工はどのくらいの費用・期間がかかりますか?

部品サイズ・材質・形状によって大きく異なりますが、通常の精密研削より2〜5倍の追加コストが必要です。専用の砥粒(ダイヤモンドペースト)を使ったラッピング工程が必要になります。まずご相談ください。

Q4. 表面粗さの検査成績書を発行してもらえますか?

はい、触針式表面粗さ計による測定値をまとめた検査成績書の発行が可能です。Ra・Rz・Rsm等のパラメータを測定箇所別に記録してお渡しします。

まとめ

表面粗さRaとRzは、精密部品の機能・耐久性・信頼性を左右する重要なパラメータです。「なんとなく滑らかに」という曖昧な指示ではなく、機能に応じた適切な数値指示と、それを実現する加工方法の選択が品質の鍵です。

関東精密では、Ra0.1以下の精密研削からRa0.8程度の精密切削まで、幅広い表面粗さに対応しています。表面粗さに関するご相談・お見積もりはお気軽にどうぞ。