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NC旋盤とマシニングセンタ:特性を理解し最適な加工法を選択する
NC旋盤加工
2025.06.12
部品加工において、NC旋盤とマシニングセンタは代表的な数値制御工作機械ですが、それぞれ得意とする加工形状や特性が異なります。「この部品はどちらの機械で加工すべきか?」この選択は、品質、コスト、納期に大きく影響します。
基本的な違いの理解
- ・NC旋盤: 主にワーク(加工対象物)を回転させ、固定された工具で切削することで、円筒形状、円錐形状、ねじ形状など、回転軸を中心とした形状(丸物)の加工を得意とします。
- ・マシニングセンタ: 主に工具を回転させ、固定されたワークに対して平面、溝、穴、曲面など、角物や複雑な三次元形状の加工を得意とします。主軸の向きにより、立形、横形、門形などの種類があります。
・使い分けの一般的な指針
- ・円筒形状が主体の部品(シャフト、フランジ、ブッシュなど): NC旋盤が第一選択肢となります。
- ・箱形状、板形状、ブロック形状で平面や穴加工が主体の部品: マシニングセンタが適しています。
- ・複雑な三次元曲面を持つ部品(金型、航空機部品など): 高度な制御が可能なマシニングセンタ(特に5軸マシニングセンタ)が用いられます。
・複合的な形状への対応:複合加工機と工程設計 実際の部品は、単純な丸物や角物だけでなく、円筒部に平面やキー溝があったり、角物に旋削加工が必要だったりする複合的な形状を持つものが少なくありません。このような場合、以下の対応が考えられます。
- ・工程分割: NC旋盤で基本形状を加工した後、マシニングセンタで追加工を行う(あるいはその逆)など、複数の機械で工程を分けて加工します。
- ・複合加工機の活用: 近年では、旋削加工とミーリング加工(マシニングセンタで行う回転工具による加工)の両方を1台の機械で、一度の段取り(ワンチャッキング)で完了できる「複合加工機(ターニングセンタ、ミルターンなどとも呼ばれる)」が普及しています。これにより、工程集約によるリードタイム短縮、段取り替え誤差の排除による精度向上、そして省スペース化といったメリットが得られます。
最適な加工方法選定のポイント
部品の図面や仕様に基づき、以下の要素を総合的に検討して最適な加工方法(および機械)を選定します。
- ・部品の主要形状と付加形状
- ・要求される加工精度
- ・生産数量(ロットサイズ)
- ・材質と被削性
- ・コストと納期
例えば、DMG MORI SL-15のような高性能な複合加工機を導入している加工業者であれば、より複雑な部品も効率的に、かつ高精度に製作できる可能性があります。
部品加工を依頼する際には、単に「この部品をお願いします」と伝えるだけでなく、可能であればどのような加工方法が考えられるか、また、その選択が品質やコストにどう影響するのかを加工業者と相談することが望ましいです。経験豊富な加工業者であれば、図面から最適な加工プロセスを提案し、品質向上やコスト削減に繋がるアドバイスを提供してくれるでしょう。