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製造中止・廃番部品の救世主?リバースエンジニアリングによる部品供給

リバースエンジニアリング
2025.06.10

長年愛用してきた機械や設備、あるいは過去に生産された製品。それらが故障し、部品交換が必要になった際に、「メーカーに問い合わせたら、もうその部品は製造中止(廃番)です」と告げられ、途方に暮れた経験はありませんか? このような状況で、リバースエンジニアリングは強力な解決策の一つとなり得ます。

なぜ部品は製造中止・廃番になるのか?

 

部品が製造中止になる背景には、様々な理由があります。

 

  • モデルチェンジと技術の陳腐化: 新しいモデルが登場すると、旧モデルの部品は徐々に供給が絞られ、やがて生産終了となります。
  • 採算性の問題:特定部品の需要が減少し、生産を継続しても採算が合わなくなると、メーカーは製造中止の判断を下します。
  • 構成部品の供給停止: 部品を構成するさらに細かいパーツや原材料の供給が止まってしまうと、部品自体の生産も不可能になります。
  • メーカーの事業再編や撤退: 部品を製造していたメーカーが事業から撤退したり、他社に買収されたりすることで、部品供給が途絶えることもあります。

【リバースエンジニアリングがもたらす解決策】

 製造中止・廃番となってしまった部品でも、現物が一つでも残っていれば(あるいは破損していても、ある程度の形状が把握できれば)、リバースエンジニアリングによって設計情報を復元し、新たに製作・供給できる可能性があります。

  •  ・現物からのデータ化: 3Dスキャナや精密測定機器を用いて現物部品の形状をデジタルデータ化し、3D CADモデルを作成します。
  •  ・図面の再作成: 作成した3Dモデルから、製造に必要な2D図面を新たに描き起こします。
  •  ・材質の特定と代替提案: 部品の材質が不明な場合は分析を行い、同等またはより入手しやすい代替材料を提案することも可能です。
  •  ・少量からの製作対応: オリジナルメーカーでは対応が難しい1個からの少量生産にも対応できる場合があります。

【リバースエンジニアリングによる部品供給のメリット】

  •  ・設備・機械の延命: 部品供給が途絶えたために諦めていた古い設備や機械を、再び稼働させることができます。これにより、高価な設備更新投資を先延ばしにしたり、回避したりできる可能性があります。
  • ・ダウンタイムの最小化: 部品待ちによる生産ラインの停止期間(ダウンタイム)を短縮し、機会損失を減らします。
  • ・独自仕様への対応: 復元する際に、元の部品にはなかった改良(強度向上、軽量化、特定の機能追加など)を加えることも可能です。
  • ・サプライチェーンの確保: 特定のメーカーに依存していた部品調達ルートを、自社主導で再構築できる可能性があります。

依頼時の注意点

廃番部品のリバースエンジニアリングを依頼する際には、以下の点に留意すると良いでしょう。

  • ・現物の状態: できるだけ原型を留めている状態の部品を提供することが望ましいです。
  • ・情報の提供: 部品が使用されていた機械の型式、使用環境、求められる機能などの情報を可能な限り伝えることで、より適切な復元が可能になります。
  • ・知的財産権の確認: 対象部品が他社の特許や意匠権で保護されている場合、その権利を侵害しない範囲での対応が必要です。

 

製造中止や廃番は、多くの企業にとって頭の痛い問題ですが、リバースエンジニアリングはそのような状況を打破する有効な手段の一つです。諦めていた部品の再生が可能になるかもしれませんので、まずは専門業者に相談してみてはいかがでしょうか。