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平面研削盤の種類と選び方:加工目的別最適な機械選定ガイド

平面研削加工
2025.05.28

 平面研削加工を行うための工作機械が「平面研削盤」です。平面研削盤には、その構造や動作方式によっていくつかの種類があり、それぞれ得意とするワークのサイズや形状、生産性が異なります。求める加工精度、加工能率、ワークの特性などを考慮し、最適な平面研削盤を選定・使用することが、高品質かつ効率的な部品生産に繋がります。

平面研削盤の主な分類

平面研削盤は、主に砥石軸の向き(立軸型/横軸型)とテーブルの形状・動作(角テーブル型/丸テーブル型)の組み合わせによって分類されます。

 

  1. 横軸角テーブル型平面研削盤:
    • ・特徴: 砥石軸がテーブル面に対して水平(横向き)で、角形のテーブルが往復運動(前後)と間欠的な横送り運動を行います。砥石の外周面で研削するのが一般的です。
    • ・主な用途: 最も標準的で汎用性が高いタイプです。小物部品からある程度の長さの長尺物まで、多様なワークの平面加工に対応できます。精密な仕上げに適しています。
    • ・ポイント: 構造が比較的シンプルで扱いやすく、高精度な加工が可能です。
  2. 立軸角テーブル型平面研削盤:
    • ・特徴: 砥石軸がテーブル面に対して垂直(縦向き)で、角形のテーブルが往復運動をします。砥石の端面(円筒状またはセグメント砥石の底面)で研削するため、接触面積が大きく、研削能率が高いのが特徴です。
    • ・主な用途: 比較的大きな面積の平面を効率よく研削したい場合や、荒研削から中仕上げに適しています。金型ベースや機械部品の広い平面加工などに用いられます。
    • ・ポイント: 研削抵抗が大きくなりがちなので、機械の剛性が求められます。
  3. 横軸丸テーブル型平面研削盤(ロータリー研削盤):
    • ・特徴: 砥石軸が水平で、円形のテーブルが回転運動をします。砥石の外周面で研削します。複数の小物をテーブルに並べて同時に加工することも可能です。
    • ・主な用途: 円盤状のワークや、リング状のワークの平面加工に適しています。また、角テーブル型に比べて設置面積あたりの加工面積を大きく取れる場合があります。
    • ・ポイント: 連続的な加工が可能で、量産性にも優れていますが、テーブル中心部は周速が遅くなるため研削状態が変化する点に注意が必要です。
  4. 立軸丸テーブル型平面研削盤(ロータリー研削盤):
    • ・特徴: 砥石軸が垂直で、円形のテーブルが回転運動をします。砥石の端面で研削するため、接触面積が大きく、非常に高い研削能率を発揮します。
    • ・主な用途: 大量生産部品の平面研削に最適です。多数個の小物を同時に高能率で加工できます。自動車部品やベアリング部品などの量産ラインで活躍します。
    • ・ポイント: 高能率ですが、砥石の切れ刃が常にワークと接触するため、砥石の摩耗管理やクーラント供給が重要になります。加工面がクロスハッチ状の研削痕(砥石の回転とテーブルの回転による)になることがあります。

機械選定の際の考慮事項

  • ・ワークの材質、形状、サイズ、重量: これらが機械のテーブルサイズ、ストローク、積載能力に適合するか。
  • ・要求される加工精度と表面粗さ: 機械の静的・動的精度、制御機能が要求レベルを満たせるか。
  • ・生産量(ロットサイズ)と加工能率: 単品加工か量産か。必要な加工時間と機械の生産能力のバランス。
  • ・砥石の種類とサイズ: 使用したい砥石が機械に取り付け可能か、砥石交換の容易性はどうか。
  • ・付帯機能: 自動ドレス装置、機上測定装置、自動ワーク交換装置などの有無。
  • ・設置スペースとコスト: 工場のスペースや予算との兼ね合い。

平面研削盤の選定は、加工の品質と効率を左右する重要な決定です。加工したい部品の特性や生産計画を明確にし、必要であれば専門の加工業者や機械メーカーに相談しながら、最適な一台を選ぶことが推奨されます。