BLOG
ブログ

平面研削加工に適した材料とは?金属から非金属まで特性と注意点

平面研削加工
2025.06.13

 平面研削加工は、その高精度な仕上げ能力から、多種多様な材料の部品加工に用いられています。金属材料はもちろんのこと、セラミックスやガラスといった非金属材料(硬脆材料)の精密加工も可能です。しかし、材料ごとに硬度、靭性、熱伝導率などの特性が異なるため、それぞれに適した砥石の選定や加工条件の設定が重要となります。

 

平面研削加工が可能な主な材料

  1. 金属材料:
    •   【炭素鋼・合金鋼】(S45CSCM材、SK材、SKD材、SKH材など):
      •    ・特性: 機械構造用部品や工具、金型に広く使用されます。多くの場合、焼入れ・焼戻しといった熱処理により高硬度化された状態で研削されます。
      •    ・研削時の注意点: 高硬度鋼は研削抵抗が大きく、研削焼けや割れが発生しやすいため、適切な砥石(A砥粒、WA砥粒、CBN砥粒など)の選定、十分なクーラント供給、慎重な加工条件設定が必要です。
    •   【ステンレス鋼】(SUS304SUS316SUS440Cなど):
      •    ・特性: 耐食性に優れますが、一般に粘り気が強く(特にオーステナイト系)、加工硬化しやすい性質があります。
      •    ・研削時の注意点: 目詰まりやむしれが発生しやすいため、専用の砥石や切れ味の良い砥石(A砥粒系、セラミック砥粒など)を選び、クーラントの選定も重要です。
    •   【鋳鉄】(FC材、FCD材など):
      •    ・特性: 摺動性や減衰性に優れますが、組織が不均一で脆い場合があります。
      •    ・研削時の注意点: 砥石の目詰まりが起こりやすく、切りくずが飛散しやすいです。GC砥粒(炭化ケイ素系)などが用いられます。
    •   【アルミニウム合金、銅合金】(真鍮、青銅など):
      •    ・特性: 比較的柔らかく、熱伝導率が高い材料です。
      •    ・研削時の注意点: 砥石の目詰まりを起こしやすく、研削面にかえりやむしれが発生しやすいです。専用の砥石や、切れ味の良いGC砥粒、ダイヤモンド砥粒などが使用されます。クーラントによる冷却と潤滑が特に重要です。
    •    ・超硬合金、チタン合金などの難削材:
      •    ・特性: 非常に硬い、あるいは高温強度が高いなどの特性を持つ反面、加工が極めて困難です。
      •    ・研削時の注意点: ダイヤモンド砥石やCBN砥石といった超砥粒砥石の使用が必須となり、専用の研削盤や特殊な加工ノウハウが求められます。
  2. 非金属材料】(硬脆材料):
    •   【セラミックス(アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素など):
      •    ・特性: 高硬度、高耐熱性、高耐食性、電気絶縁性などの優れた特性を持ちますが、非常に脆く、割れやすいです。
      •    ・研削時の注意点: ダイヤモンド砥石が主に使用されます。加工中のチッピング(微小な欠け)やクラックの発生を防ぐため、機械の剛性、微細な切り込み制御、適切なクーラント供給が極めて重要です。
    •   【ガラス】(石英ガラス、光学ガラスなど):
      •    ・特性: 透明性、耐薬品性、電気絶縁性などに優れますが、脆く、熱衝撃にも弱いです。
      •    ・研削時の注意点: ダイヤモンド砥粒を用いたペレット砥石やカップ砥石などが使用されます。加工熱のコントロールとチッピング防止が重要です。
      • その他(単結晶シリコン、サファイア、フェライトなど):
      •  電子部品や光学部品に使用されるこれらの材料も、ダイヤモンド砥石を用いた高精度な平面研削加工が行われます。

材料選定と加工業者への相談

部品に求められる機能や使用環境に応じて最適な材料を選定することは、製品開発の初期段階で非常に重要です。そして、選定した材料の平面研削加工を依頼する際には、その材料の特性(特に硬度、脆性、熱的性質など)を加工業者に正確に伝え、加工実績や対応可能な砥石・設備について確認することが不可欠です。

経験豊富な加工業者であれば、様々な材料の研削ノウハウを蓄積しており、材質に応じた最適な加工条件や品質管理方法を提案してくれるでしょう。これにより、材料の特性を最大限に活かした高品質な部品の製作が期待できます。