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図面どおりに仕上がらない?それ、加工方法の選定ミスかもしれません。

5軸マシニング加工
2025.07.06

~【5軸マシニング】の本領を発揮する“複雑形状”への最適解~

 

はじめに~「図面どおりに仕上がらない」悩み、ありませんか?

 製造業の現場では、試作や量産立ち上げの際に「図面どおりの仕上がりにならない」「精度が出ない」「思ったより工数がかかる」といった悩みがつきものです。特に、3次元的な複雑形状の部品や、複数の加工面を持つ機構部品では、その傾向が顕著です。

このようなとき、設計者や調達担当者が見落としがちなのが、「加工方法の選定ミス」です。材料や精度、形状を見極めずに従来の手法で依頼してしまい、結果的に再加工や工程の見直しが発生する──そんな現場は意外と多いのではないでしょうか。

 

 

そこで今回は、「複雑形状の切削加工」に強みを持つ【5軸マシニング】に注目し、適切な加工方法の選定が製品品質とコスト、納期にどう影響するかを解説します。

 

5軸マシニングとは? なぜ今、注目されているのか

【5軸マシニング】とは、X・Y・Z軸の直交3軸に加えて、A軸(傾斜)とB軸(回転)などの回転軸を備えた工作機械による加工方法です。

従来の3軸マシニングセンタでは、「工具の向きを変えるにはワークを再固定する必要がある」「段取り回数が多い」「精度が落ちやすい」といった課題がありました。

一方、5軸では工具の角度を自在に変えられるため、

・アンダーカットや斜め加工が一度の段取りで可能
・工具の突き出しが短くて済むので振れが少ない
・切削工具の寿命が長く、仕上がり面も良好

などのメリットがあります。特に航空機部品、医療機器、精密金型など、高精度かつ複雑な形状が求められる分野では、今や欠かせない加工手段となっています。

 

 

 

「5軸じゃないと難しい加工」の典型例

では、実際に【5軸マシニング】が力を発揮するのはどのようなケースでしょうか?いくつかの代表例をご紹介します。

 

① 曲面・球面を含む部品

例えば、熱交換器やバルブ、人工関節などの球面加工では、3軸では何度も角度を変えて段取りを繰り返す必要があります。5軸なら一括加工が可能で、面の滑らかさや寸法精度が大幅に向上します。

 

② 多面加工が必要な部品

ギヤボックスのように複数の接続面を持つ筐体部品は、従来なら何度もチャッキング(クランプ)位置を変更しながら加工する必要がありましたが、5軸では一度の段取りで全方向から加工が可能です。

 

③ 切削加工中の干渉を避けたい部品

深いポケット形状や、細いリブ構造などでは、工具干渉が問題になります。5軸では工具を傾けながら切削することで、干渉を回避しつつ高効率で加工できます。

 

 

※5軸の導入=万能ではない。判断のポイントは?

ここまで読むと「5軸があれば何でもできる」と思われるかもしれませんが、実はそう単純でもありません。

 

✔ 加工コストと時間

5軸マシニングは、工作機械自体の導入コストが高く、熟練のプログラマーによるCAM(加工データ作成)も必要です。そのため、単純形状やロット数の多い部品には向かないこともあります。

 

✔ ワークサイズの制限

5軸機は構造上、ストローク(可動範囲)が限られるため、特に大物部品は対応できない場合があります。

 

✔ 図面段階での加工性の検討

図面に「5軸でしか加工できない形状」が含まれていると、製作可能な工場が限られ、価格や納期に跳ね返ってきます。そのため、早い段階から加工業者と連携して「加工できる設計」に落とし込むことが重要です。

 

 

切削加工の最適解は「加工の前の相談」

設計段階で「この部品は切削加工で対応できるか?」「3軸と5軸、どちらが適切か?」といった相談を専門業者にすることで、設計と加工のミスマッチを未然に防ぐことができます。

中でも、【切削加工の専門知識を持ち、3軸と5軸の両方に対応可能な町工場】を活用することで、『設計・加工・品質』のバランスがとれた“ものづくり”が実現しやすくなります。

 

 

まとめ:図面通りの品質は「加工方法の選び方」で決まる

【5軸マシニング】は、従来の切削加工では困難だった複雑形状や高精度な加工を実現する強力なツールです。しかし、万能ではないため、加工方法の選定は慎重に行うべきです。

「この形状はどうやって加工するのが最適か?」「5軸を使ったほうがいいのか?」といった疑問がある場合は、【加工現場の視点からアドバイスできるパートナー】に早めに相談してみてください。

 

図面通りの仕上がり、品質、納期、コストのすべてを満たす製品づくりは、正しい加工方法の選定から始まります。