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修復部品製作のコストと期間:リバースエンジニアリング依頼時の目安

リバースエンジニアリング
2025.06.23

 「図面のない部品をリバースエンジニアリングで復元したいが、一体どれくらいの費用と時間がかかるのだろうか?」これは、多くの方が抱く疑問でしょう。リバースエンジニアリングによる修復部品製作のコストと期間は、対象部品の特性や要求される精度、作業内容によって大きく変動するため、一概に「いくらで何日」と示すことは困難です。しかし、主な変動要因を理解しておくことで、見積もり依頼時の目安となり、業者とのコミュニケーションもスムーズになります。

 

コストに影響を与える主な要因

 

1. 対象部品の形状の複雑さ:
 o 単純な円筒形状や板形状の部品と、複雑な自由曲面を持つ部品や内部構造が入り組んだ部品とでは、3DスキャンやCADモデリングにかかる工数が大きく異なります。複雑なほど高コストになる傾向があります。

 

2. 部品のサイズ:
 o 大型部品の場合、3Dスキャンの範囲が広がり、データ処理にも時間がかかります。また、取り扱いや測定にも特別な設備やスペースが必要となる場合があります。

 

3. 要求される精度:
 o ミクロン単位の高い寸法精度や幾何公差が求められる場合、高精度な3Dスキャナーや三次元測定機の使用、そして熟練した技術者による精密なCADモデリングや検査が必要となり、コストが上昇します。

 

4. 材質とその分析の要否:
 o 部品の材質が既知であれば問題ありませんが、不明な場合は材質分析(成分分析、硬度試験など)が必要となり、その分の費用が加算されます。また、特殊な材料や難削材の場合、その後の製作コストも高くなります。

 

5. 3Dデータの作成レベル:
 o 単に3Dスキャンデータ(点群やメッシュ)を提供するだけなのか、それを基に完全に編集可能なソリッド/サーフェスCADモデルを作成するのか、さらに製造用の2D図面まで作成するのかによって、作業工数とコストが変わります。

 

6. 試作の有無と回数:
 o 形状確認や機能検証のために試作品を製作する場合、その製作費と検証作業の工数がかかります。試作と修正を繰り返す場合は、その都度コストと期間が増加します。

 

7. 製作数量(ロットサイズ):
 o リバースエンジニアリングの初期費用(データ作成費など)は、製作数量に関わらず発生します。そのため、1個だけ製作する場合と、ある程度の数量をまとめて製作する場合とでは、1個あたりの単価は大きく異なります。

 

8. 現物の状態:
 o 破損や摩耗が激しい部品の場合、元の形状を推測・復元するための追加工数が必要になることがあります。
期間に影響を与える主な要因

 

• 上記のコスト要因の多くは、そのまま期間にも影響します(形状の複雑さ、サイズ、要求精度、材質分析の要否、データ作成レベル、試作の有無など)。

 

• 業者の受注状況やリソース: 依頼する業者の抱えている案件数や、対応できる技術者の数によって、着手までの待ち時間や実作業期間が変わります。

 

• 材料の調達期間: 特殊な材料や入手困難な材料の場合、その調達に時間がかかることがあります。

 

• コミュニケーションの円滑さ: 発注者と業者間での情報共有や意思決定がスムーズに進むほど、期間は短縮されます。

 

おおよその目安を得るために
具体的なコストと期間を知るためには、まず復元したい部品の写真や、わかる範囲での情報(おおよそのサイズ、材質、使用用途、問題点など)を添えて、専門業者に見積もりを依頼するのが最も確実です。複数の業者から見積もりを取り、提案内容や実績、対応力を比較検討することも有効です.

 

リバースエンジニアリングは、初期投資としてデータ作成費用などがかかる場合がありますが、廃番部品の再製作による設備延命効果や、ダウンタイムの削減、あるいは新規に金型を起こすよりも安価に部品を調達できる可能性などを考慮すると、トータルで見てコストメリットが大きくなるケースも少なくありません。