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マシニング加工における表面品質:美観と機能性を両立させる加工技術

5軸マシニング加工
2025.06.23

 マシニング加工された部品の「表面品質」は、単に見た目の美しさの問題だけでなく、部品の機能性、耐久性、さらには製品全体の価値にも深く関わる重要な要素です。摺動部分の摩擦特性、シール面の気密性、あるいは外観部品としての美観など、用途に応じて最適な表面状態を実現することが求められます。

 

表面品質を決定する主要因 マシニング加工における表面品質(主に表面粗さや加工痕)は、以下のようないくつかの要因によって決まります。
• 切削条件の最適化: 切削速度、送り速度、切り込み量といった基本的な切削条件は、表面粗さに直接影響します。材質や使用する工具に合わせてこれらの条件を最適化することが、良好な表面を得るための第一歩です。
• 切削工具の選定と管理: 工具の材質、刃先の形状(ノーズRなど)、刃先の摩耗状態などが表面品質を大きく左右します。シャープで適切な形状の工具を使用し、摩耗が進んだ工具は適時交換することが重要です。
• 加工機械の剛性と振動: 機械本体の剛性が低い場合や、加工中にびびり振動が発生すると、加工面に周期的な模様(びびりマーク)が生じ、表面品質を著しく低下させます。高剛性な機械を選定し、適切な加工条件や工具経路を設定することで振動を抑制する必要があります。
• クーラント(切削油剤)の適切な使用: クーラントは、潤滑、冷却、切りくず排出といった役割を担い、良好な加工面を得るために不可欠です。加工方法や材質に適したクーラントを選定し、適切な量を適切な箇所に供給することが重要です。
• 加工パス(工具経路)の工夫: 工具がワーク表面をどのように移動するかという加工パスも、加工面の質に影響します。例えば、一定方向の削り目(カッターマーク)を残すか、それを目立たなくするかなど、目的に応じたパスの工夫が求められます。
用途に応じた表面品質の実現 部品の用途によって、求められる表面品質は異なります。
• 摺動部・嵌合部: シャフトやベアリングのハウジングなど、他の部品と接触しながら動く部分や、精密な嵌合が求められる部分では、摩擦係数を低減し摩耗を防ぐために、滑らかな表面(低い表面粗さ)が要求されます。
• シール面: 油や空気の漏れを防ぐためのOリング溝やガスケット接触面などでは、高い気密性を確保するために、傷がなく均一で滑らかな表面が必要です。
• 外観部品: 製品の外装や操作部など、人の目に触れる部分では、美観が重視されます。均一な加工目や光沢のある仕上がりが求められることもあります。
• 塗装・コーティング前処理: 塗装やコーティングの密着性を高めるために、あえて一定の表面粗さが必要とされる場合もあります。

 

専門業者による仕上げ加工 マシニング加工のみで要求される表面品質が得られない場合は、研磨加工(バフ研磨、バレル研磨など)やショットブラスト、ホーニングといった後加工(仕上げ処理)が必要になることもあります。これらの仕上げ処理まで一貫して対応できる加工業者であれば、より幅広いニーズに応えることが可能です。

 

マシニング加工を依頼する際には、必要な寸法精度だけでなく、部品の用途を伝え、どの程度の表面品質が求められるのかを明確にすることが重要です。経験豊富な加工業者であれば、要求される表面品質を実現するための最適な加工方法や仕上げ処理を提案してくれるでしょう。