BLOG
ブログ
  • TOP
  • 切削加工ブログ
  • そのアイデア、図面にする前に相談しませんか?加工現場が明かす「構想段階」で相談する3つのメリット

そのアイデア、図面にする前に相談しませんか?加工現場が明かす「構想段階」で相談する3つのメリット

開発、設計
2025.07.26

【頭の中のアイデアが、図面になる前の「壁」】
・新製品の心臓部となる機構、頭の中では完璧に動いているのに、いざCADで図面にしようとすると手が止まる…
・この複雑な形状、本当に一体で加工できるのだろうか?分割すべきか?
・とりあえず設計して見積もりを取ったら『加工不可』や、想定の5倍の金額が提示されて計画が頓挫した…

製品開発の最前線に立つ設計者や開発責任者の方々であれば、一度はこのような経験をされているのではないでしょうか。

優れたアイデアも、具現化できなければ価値を生みません。そして、その実現可能性を大きく左右するのが、「どのタイミングで、誰に相談するか」です。

 

 本記事では、図面化される前の「アイデア段階」「構想段階」で加工のプロフェッショナルに相談することが、いかにプロジェクトの成功確率を高めるか、その具体的な理由とメリットについて、町工場の視点から解説します。

 

【なぜ「図面完成後」の相談では手遅れなのか?】
 多くのケースでは、設計が完了し、完璧な図面ができた段階で加工会社への見積もり依頼が行われます。しかし、このプロセスには大きなリスクが潜んでいます。

 

致命的な【手戻り】の発生:

 図面完成後に「その形状は物理的に刃物が入らない」「その公差指示ではコストが跳ね上がる」といった問題が発覚すると、設計工程への大規模な手戻りが発生します。これは納期遅延と開発コストの増大に直結する、最も避けたい事態です。

 

最適な【工法・材質】の見逃し:

 設計者の知識や経験だけでは、最新の加工技術や多様な材質の特性をすべて網羅することは困難です。例えば、「マシニング加工を前提に設計したが、実は放電加工や研削を組み合わせた方が精度とコストのバランスが良い」といったケースは少なくありません。

図面が固定されてしまうと、こうしたより良い選択肢を検討する機会を失ってしまいます。

 

過剰品質によるコスト増:

 安全マージンを考慮するあまり、必要以上に厳しい公差『※例えば、機能的に不要な箇所に±0.01mm以下の指』を設定してしまうことがあります。加工現場から見れば、その一文が工程数や使用する工作機械を限定し、結果として不要なコストを生み出しているケースが散見されます。

これらのリスクは、設計と加工の間に存在する「情報の非対称性」から生まれます。このギャップを埋める鍵こそが、構想段階での対話なのです。

 

解決アプローチ:

 ポンチ絵一枚から始める「共創」というカタチ
では、具体的に構想段階でどのような相談が可能なのでしょうか。私たちは、完璧な図面は不要だと考えています。

むしろ、情報が固定されていない、ラフな状態だからこそ価値があります。

 

■STEP1:アイデアの「核」を共有する(ポンチ絵・手書きスケッチでOK)
  まず必要なのは、CADデータではなく、「何を実現したいか」という目的の共有です。

例)

・実現したい機能:『この部品で、X軸方向の位置決めとZ軸方向のスライドを両立させたい』

・満たすべき性能:『150℃の環境下で、この面の平面度0.02を維持したい』

・目標コストとロット数:『量産時は1個あたり〇〇円に抑えたい。試作は5個』

・現状の課題:『既存部品は摩耗が激しい。もっと硬い材質、例えば硬質材(SKD11など)は使えないか?』等々

 

これらの情報を、手描きのポンチ絵や簡単なブロック図と共に共有いただくだけで、加工のプロは頭の中で最適な製造プロセスを組み立て始めます。

 

■STEP2:加工現場の視点で「DFM(製造性考慮設計)」を提案
 共有いただいた構想を基に、私たちは「どうすれば、より良く、より安く、より速く作れるか」という視点で具体的な提案を行います。

・形状提案:『この角にRを付ければ、エンドミルの寿命が延びて加工費を抑えられます』『このリブ形状は、放電加工なら一体で・実現可能です』

・工法提案:『この精度なら、マシニングだけでなく研削仕上げが必要です。基準面をこちらに設定しましょう』『複雑形状なので、ワイヤーカットとマシニングの複合加工が最適です』

・材質提案『軽量化ならA7075(超々ジュラルミン)が有効ですが、耐食性も必要ならA5052にアルマイト処理はどうでしょう?』『摺動部には自己潤滑性のある樹脂や、無電解ニッケルめっきを施したSUS304も選択肢です』等々

 

■STEP3:対話を通じて設計を決定させる
 このような技術的な対話を繰り返すことで、設計者は安心して図面化作業に集中できます。加工方法の裏付けがあるため、後工程での「加工不可」というリスクは限りなくゼロに近づきます。これは、一方的な「外注」ではなく、ゴールを共有するパートナーとの「共創」と言えるプロセスです。

 

・設計者視点でのアドバイス:~相談を成功させるために~
構想段階の相談をより有意義なものにするために、設計者の皆様に意識していただきたい点が2つあります。

 

・「機能」と「制約」を明確に伝える: 「どう作るか(How)」は私たち加工側に任せていただき、「何をしたいか(What)」と「何ができないか(Constraint)」を明確に伝えていただくことが重要です。特に、絶対に譲れない性能要件と、逆に「この部分はラフでも良い」という情報をいただけると、コストと性能の最適なバランス点を探りやすくなります。

 

・過去の失敗事例も貴重な情報源: 「以前、同じような部品をSUS304で作ったら、想定外の歪みが出た」といった過去の失敗談は、非常に重要な情報です。その原因を一緒に分析し、材質変更や加工プロセスの工夫(例:歪み取りの工程を追加する)といった具体的な対策を構想段階で織り込むことができます。

 

・次にすべきこと:そのアイデア、私たちと一緒に「育て」ませんか?
もし今、あなたの頭の中に、図面化できずに眠っているアイデアや、実現性に確信が持てない構想があるのなら。
もし、外注先とのやり取りで、専門的すぎて話が噛み合わない、と感じた経験があるのなら。

一度、その構想を「形」にする前に、言葉で相談してみる、という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。

完璧な図面は必要ありません。あなたの「こうしたい」という想いを、私たち町工場が持つ加工技術と知識で受け止め、一緒に「加工できる、価値ある形」へと育てていきます。その第一歩が、プロジェクト成功への最短ルートとなるはずです。

 

    • 1.入力
    • 2.確認
    • 3.完了
    • 1.入力
    • 2.確認
    • 3.完了
    必須お問合せ項目
    必須応募職種
    任意会社名
    必須住所
    必須名前
    必須メールアドレス
    必須電話番号※ハイフン不要
    任意添付ファイル

    ※一度に送信できる画像ファイルの容量上限は5MBです。
    ※添付可能なファイル形式は、.jpg、.png、.jpeg、.gif、.xlsx、.docx、.xls、.doc、.ppt、.tif、.tiff、.pdfです。

    任意お問い合わせ内容

    個人情報の取り扱いについては
    プライバシーポリシー」ををお読みいただき、
    同意のうえ「確認画面へ」を押してください。