BLOG
ブログ
マシニング加工の種類と適切な選択:プロジェクトの目的と特性に応じた最適な方法とは
5軸マシニング加工
2025.05.18
マシニング加工と一言で言っても、その加工方法にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴や得意とする加工が異なります。「自分のプロジェクトには、どのマシニング加工が最適なのか?」この問いに的確に答えることは、品質、コスト、納期のバランスを取る上で非常に重要です。
マシニング加工の主な種類
マシニング加工は、主に制御できる軸の数によって分類されます。
- ・3軸マシニング加工:
- X軸(左右)、Y軸(前後)、Z軸(上下)の3つの直線軸を制御して加工を行います。平面加工、穴あけ、単純なポケット加工などに適しており、比較的コストを抑えやすいのが特徴です。多くの部品加工で基本となる方式です。
- ・4軸マシニング加工:
- 3軸の動きに加え、1つの回転軸(A軸またはB軸)が加わります。これにより、円筒形のワークの側面への加工や、割り出し加工(一定角度ごとに回転させて加工)などが可能になります。
- ・5軸マシニング加工:
- 3つの直線軸に加え、2つの回転軸(A軸とC軸、またはB軸とC軸の組み合わせなど)を同時に制御できます。これにより、工具をワークに対して任意の角度からアプローチさせることが可能になり、複雑な三次元形状や多面加工を一度のセッティングで行えます。アンダーカットや傾斜面の加工にも対応できます。
最適な加工方法の選び方
プロジェクトに最適なマシニング加工方法を選ぶためには、以下の要素を総合的に考慮する必要があります。
- 1.部品の形状と複雑度:
- 単純な平面や2.5次元形状であれば、3軸加工で十分な場合があります。
- 側面への加工や割り出しが必要な場合は4軸加工が適しています。
- 複雑な曲面、多面同時加工、アンダーカットなどがある場合は、5軸加工が最も効率的かつ高精度な選択肢となります。
- 2.要求される精度:
- 5軸加工は一度のセッティングで多面加工を行えるため、段取り替えによる誤差の蓄積を避けられ、一般的に高い精度が期待できます。しかし、3軸加工でも高精度な加工は可能です。必要な精度レベルとコストのバランスを考慮します。
- 3.生産数量(ロットサイズ):
- 少量多品種生産や試作品製作では、段取り替えの時間を削減できる5軸加工がトータルコストや納期面で有利になることがあります。
- 大量生産品で、かつ形状が比較的単純な場合は、3軸加工機を複数台使用したり、専用治具を工夫したりすることでコスト効率を高められる場合があります。
- 4.コストと納期:
- 一般的に、軸数が増えるほど機械の価格やプログラミングの複雑性が増すため、時間単価は上がる傾向にあります。しかし、5軸加工による工程集約がトータルコストの削減や納期短縮につながることも多いため、単純な時間単価だけでなく、総コストと納期で比較検討することが重要です。
- 例えば、複雑な形状の部品を3軸加工で多数の工程と段取り替えを繰り返して製作するよりも、5軸加工で一括して加工した方が、結果的にトータルコストが低減され、納期も短縮されるケースは少なくありません。
専門家への相談の重要性
最適な加工方法の選定に迷う場合は、経験豊富な加工業者に相談することが賢明です。「この部品の材質、形状、要求精度、予算、希望納期はこうだ」といった情報を具体的に伝えることで、専門的な見地から最適な加工方法の提案を受けることができます。加工業者は、それぞれの加工方法のメリット・デメリットを熟知しており、お客様のプロジェクトに最も適したソリューションを提示してくれるでしょう。
適切な加工方法を選択することは、プロジェクト全体の成功に直結します。見積もりを比較する際には、価格だけでなく、提案されている加工方法が本当にその部品にとって最適なのかという視点も持って検討することが推奨されます。