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5軸加工機と3軸加工機の違いを徹底比較|どちらを選ぶべきか判断基準を解説

マシニング加工
コラム
2026.08.03

「5軸加工機」という言葉は最近よく耳にするようになりましたが、「3軸の加工機と何が違うのか」「どういう部品に向いているのか」を正確に理解している方は意外と少ないかもしれません。

本記事では、3軸・5軸マシニングセンタの仕組みの違いから、それぞれの得意・不得意、選び方の判断基準まで、実際の加工現場の視点から詳しく解説します。

3軸マシニングセンタとは:基本的な動きと特徴

3軸マシニングセンタは、X軸(左右)・Y軸(前後)・Z軸(上下)の3つの直線軸で工具(主軸)またはテーブルが移動する加工機です。最もスタンダードな構成で、工場に最も広く普及している加工機です。

3軸加工機の特徴:

  • 操作・プログラミングが比較的シンプル
  • 機械コスト・維持費が5軸より低い
  • 一度のセッティングで加工できるのは「1方向から見える面」のみ
  • 傾斜面・複雑な3D曲面は複数回のチャッキングまたは専用治具が必要

5軸マシニングセンタとは:2つの回転軸が追加される

5軸マシニングセンタは、3軸(X・Y・Z)に加えて、2つの回転軸(A軸・B軸、またはA軸・C軸)が追加された加工機です。この2つの回転軸により、工具の向きを任意の方向に変えたり、ワークを任意の角度に傾けたりすることができます。

回転軸の種類と機械構成

構成タイプ 回転軸の位置 特徴
テーブル回転型 テーブルにA・C軸(または A・B軸) 主軸剛性高い、大型ワーク向け
主軸傾斜型(スイブルヘッド) 主軸にB軸(首振り) ワークの固定が安定、重量物向け
複合型(ハイブリッド) テーブルC軸+主軸B軸 汎用性高い、コンパクトワーク向け

3軸と5軸の具体的な違い:何が変わるのか

違い1:加工できる形状の自由度

3軸では工具は常にZ軸方向(垂直)を向いているため、傾斜面・アンダーカット形状・複雑な3次元曲面は「工具が届かない」または「段取り替えが必要」です。5軸では工具を任意方向に傾けられるため、これらの形状を1チャッキングで加工できます。

違い2:チャッキング回数と精度

3軸での複数面加工は、各面ごとに固定し直す(段取り替え)必要があります。この段取り替えのたびに位置基準がリセットされ、各工程の誤差が累積します(一般的に工程間誤差0.02〜0.05mm程度)。5軸では1チャッキングで複数面の加工が完結し、この誤差が原理的に発生しません。

違い3:工具の傾斜加工による品質向上

5軸加工では、工具軸をわずかに傾けることで「工具先端の静止点」を避けて切削できます。ボールエンドミルの先端(ゼロ速度点)を使うと切削速度がゼロになり、面品位が悪化します。工具を傾けることでこの問題を回避し、より良い表面粗さを実現できます。

違い4:工具の有効長を短く使える

深い溝や立ち壁に沿った加工では、3軸では長い工具(ロングエンドミル)を使う必要があり、びびりが発生しやすくなります。5軸では工具を傾けることで短い工具で加工でき、びびりが抑制されて精度・面品位が向上します。

3軸と5軸:どちらを選ぶべきか判断基準

判断基準 3軸が向いている 5軸が向いている
形状 1面または2面加工で完結する部品 多面加工・傾斜面・複雑3D曲面
精度要求 ±0.05mm程度まで ±0.01mm以下の複数面間精度
工程数 多工程でも段取り時間が許容できる場合 工程集約によるリードタイム短縮が必要
形状例 単純なプレート・ブロック・シャフト インペラ・タービン・金型・複合フランジ
数量 多量生産(専用ライン化する場合) 単品〜中ロット(段取り集約効果大)

同時5軸加工と割り出し5軸加工の違い

「5軸加工」には大きく2種類あります。

割り出し5軸加工(3+2加工)

加工する面ごとにA・B軸でワーク(またはヘッド)を特定角度に固定し、その状態で3軸制御で加工する方法です。各面の加工中は3軸と同じ動きをします。比較的プログラムが簡単で、一般的な5軸加工の多くはこの方式です。

同時5軸加工(5軸制御加工)

加工中にX・Y・Z・A・B(またはC)の5軸が同時に動く加工方法です。複雑な3次元曲面(タービンブレード・インペラ)の高精度加工に使用されます。CAMプログラムが複雑になり、機械への要求も高くなります。

5軸加工の注意点:万能ではない

5軸加工は強力なツールですが、注意点もあります。

  • 機械コスト:5軸機は3軸機より2〜5倍高価なため、時間単価も高くなる
  • プログラムの複雑さ:CAMソフトへの習熟・干渉チェックが必要
  • 加工ワークサイズの制限:テーブル回転型は大型ワークに制限がある場合がある
  • 剛性:テーブルが回転する分、固定型3軸機より剛性が若干低い機種もある

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 「5軸加工対応」と書いてあれば全ての複雑形状が加工できますか?

「5軸対応」でも、割り出し5軸か同時5軸かで対応できる形状が異なります。また機械のテーブルサイズ・主軸トルク・使用工具によっても制限があります。加工したい部品の形状・精度をお知らせいただければ対応可否をお答えします。

Q2. 今まで3軸で多工程加工していた部品を5軸に切り替えることはできますか?

はい、可能なケースが多いです。既存図面を確認した上で、5軸への移行メリット(コスト削減・精度向上・リードタイム短縮)と見積もりをご提示します。

Q3. 5軸加工では何個から発注できますか?

1個からの単品加工に対応しています。試作・単品こそ5軸の工程集約効果が大きく発揮されます。

Q4. 5軸加工と旋盤(ターニング)の使い分けはどうすればよいですか?

純粋な回転体(シャフト・リング)は旋盤が高効率です。回転体に穴・溝・フラット面・傾斜穴が追加された複合形状は5軸マシニングセンタが有利です。形状をお知らせいただければ最適な加工方法をご提案します。

まとめ

3軸マシニングセンタと5軸マシニングセンタは、それぞれ異なる強みと適した用途があります。シンプルな形状の効率生産には3軸が、複雑形状・多面加工・高精度複合部品には5軸が威力を発揮します。どちらを選ぶべきかは、部品の形状・精度要求・数量・リードタイムを総合的に判断して決定することが重要です。

関東精密では、3軸から5軸まで幅広い加工設備を自社保有しており、部品に最適な加工方法をご提案します。「この部品は3軸と5軸どちらが向いているか」というご質問だけでも歓迎します。お気軽にご相談ください。

 

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