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異種材料(金属×樹脂)複合加工の極意|熱膨張と剛性差を制する設計・製造技術バイブル

樹脂金型、モールド金型、プレス金型
マシニング加工
2026.01.23

製造業における製品開発の現場では、近年、単一材料では達成できない機能を求めて「マルチマテリアル化」が急速に進んでいます。その中でも、高い剛性と耐久性を持つ「金属」と、摺動性・絶縁性・軽量性に優れた「樹脂(プラスチック)」を組み合わせた「異種材料複合部品」の需要は、半導体製造装置、医療機器、航空宇宙、そして次世代自動車産業において爆発的に増加しています。

しかし、金属と樹脂は、物理的特性がまるで異なる「水と油」のような関係です。これを一つの部品として高精度に加工し、かつ長期的な信頼性を担保することは、一般的な機械加工の常識だけでは太刀打ちできない難問です。

本記事では、設計者や開発担当者が直面する「金属×樹脂」の複合加工における技術的課題(熱膨張、被削性、保持剛性など)を工学的視点から解剖し、それを克服するための具体的な製造プロセスと、株式会社関東精密が提供する解決策について、余すところなく解説します。

 

 

目次

第1章:なぜ「金属×樹脂」の複合加工は難しいのか?工学的障壁の正体

設計図面上では、金属と樹脂が完璧に結合し、フラットな面や同軸度が維持されているように描かれます。しかし、実際の製造現場では、物理法則がその実現を阻みます。まずは、敵を知ることから始めましょう。

### 1. 線膨張係数(CTE)の決定的乖離

異種材料加工において最大の敵となるのが「熱」です。金属と樹脂では、温度変化に対する寸法変化の比率(線膨張係数)が桁違いに異なります。

| 材料種別 | 代表的素材 | 線膨張係数 () | 備考 |
| 金属 | 鉄 (S45C等) | 11.7 | 基準となる安定性 |
| 金属 | ステンレス (SUS304) | 17.3 | 比較的動きやすい |
| 金属 | アルミニウム (A5052) | 23.6 | 金属の中では膨張しやすい |
| 樹脂 | PEEK | 40 – 50 | エンプラの最高峰でも金属の約2倍 |
| 樹脂 | POM (ジュラコン) | 100 – 120 | 金属の約5〜10倍 |
| 樹脂 | MCナイロン | 80 – 100 | 吸水による寸法変化も加わる |

この表が示す通り、例えばアルミニウムとMCナイロンを組み合わせた部品を加工する場合、加工時の摩擦熱で部材温度が10℃上昇しただけで、樹脂側は金属側の約4倍も膨張しようとします。
加工中は寸法が出ていても、常温に戻った瞬間に「段差(目違い)」や「反り」が発生するのは、この物理特性の差が原因です。

 

2. ヤング率(弾性率)とチャッキングのジレンマ

次に立ちはだかるのが「硬さ」と「柔らかさ」の共存問題です。
金属部品を高精度に加工するためには、強力なクランプ(把握力)でワークを固定し、ビビリを抑制する必要があります。しかし、その力で樹脂部分を締め付ければ、樹脂は容易に弾性変形、あるいは塑性変形を起こします。

・金属に合わせれば樹脂が潰れる
・樹脂に合わせれば金属加工時にワークが動く

この相反する条件をクリアするために、多くの加工業者が試行錯誤を繰り返し、そして敗北していきます。

 

3. 被削性(マシナビリティ)と切削条件の競合

切削工具(エンドミルやドリル)に対する挙動も正反対です。

・金属: 高剛性な工具で、高い切削抵抗に打ち勝つ加工が必要。構成刃先(溶着)を防ぐために適切なクーラントと切削速度が求められる。
・樹脂: 鋭利な刃先で「むしり取る」ような加工が必要。熱伝導率が低いため熱がこもりやすく、融点を超えると溶けてしまう。

これらが一体となったワークを加工する場合、境界線(境目)を通過する瞬間に、切削抵抗が急激に変動します。これが工具の振動(びびり)を誘発し、接合部の剥離や欠け、バリの原因となります。

 

 

第2章:株式会社関東精密が選ばれる5つの理由(技術的優位性)

神奈川県横浜市、日本のモノづくりの心臓部において、私たち株式会社関東精密は難削材加工の限界に挑み続けています。特に「金属と樹脂の複合加工」において、なぜ多くの開発者様から「指名」をいただけるのか。その技術的根拠をご説明します。

 

1. 温度制御への執念:恒温環境と熱変位補正

前述の「線膨張係数の差」を克服する唯一の方法は、徹底的な温度管理です。
当社では、工場内の空調管理はもちろんのこと、工作機械本体の熱変位補正機能に加え、ワーク自体の温度ならし(ソーキング)に十分な時間を費やします。
さらに、加工中の切削熱を最小限に抑えるための「低温切削」ノウハウを確立。クーラントの温度管理や、エアブローによる冷却効率の最適化を行い、金属と樹脂が「同じ温度環境」で加工される状態を維持します。これにより、加工後の温度低下による寸法偏差を極限まで低減しています。

 

2. 「柔よく剛を制す」ハイブリッド・チャッキング技術

金属の剛性と樹脂の柔軟性に対応するため、私たちは独自の治具(ジグ)設計を行います。

・応力分散型クランプ: 樹脂部分を「点」ではなく「面」で包み込むように保持し、変形を防ぎつつ必要な把握力を確保する特注ソフトジョー(生爪)の使用。

・真空チャックとメカニカルクランプの併用: 薄肉形状や複雑形状の場合、底面を真空吸着しつつ、金属部分のみをピンポイントでメカニカルに固定する複合固定技術。
・歪みレス加工: ワーク内部の残留応力を考慮し、荒加工後に一度クランプを緩め(解放)、応力を逃がしてから仕上げ加工を行う「リリース工程」の標準化。

 

3. 境界線を攻める:異種材料専用ツールパス戦略

金属と樹脂の「境目」は、最も加工トラブルが起きやすい危険地帯です。当社はCAM(Computer Aided Manufacturing)システムを駆使し、境界専用のツールパスを生成します。

・インサイド・アウト戦略: 硬い金属側から柔らかい樹脂側へ刃物を抜くのか、その逆か。材質と形状により最適なアプローチを選択し、バリの発生や界面の剥離を防ぎます。
・境界部減速制御: 境界を通過する瞬間、送り速度と回転数をミリ秒単位で制御し、切削抵抗の急変によるショックマーク(工具痕)を抑制します。

 

4. 適切な「刃物」の選定と管理

金属用と樹脂用では、最適な工具のすくい角やコーティングが異なります。複合材加工では、以下の手法を用います。

・DLCコーティングの活用: アルミと樹脂の複合材などでは、両者に対して凝着(溶着)しにくいDLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティング工具を採用し、構成刃先の発生を抑えます。
・複合材専用工具: 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)加工などで培ったノウハウを応用し、繊維やフィラーを含む強化樹脂と金属の組み合わせにも対応可能な超硬工具を選定します。

 

5. 「測る技術」へのこだわり

柔らかい樹脂は、接触式の三次元測定機のプローブが当たるだけで数ミクロン凹んでしまいます。
当社では、接触圧を極限まで低く設定できる高感度プローブや、画像測定機・レーザースキャナなどの非接触測定機器を適材適所で組み合わせ、真の寸法(変形していない状態の寸法)を保証します。

 

 

第3章:技術深掘り・プロセス解剖

ここでは、具体的な加工プロセスにおける技術的な要点をさらに深く掘り下げます。

 

接着・接合工程における精度管理

多くの複合部品は、金属母材に樹脂を接着・圧入・またはインサート成形してから仕上げ加工を行います。この「接合品質」が最終精度を左右します。

・接着層の厚み制御: 金属と樹脂の間に介在する接着剤の層が不均一だと、加工後の平行度が出ません。当社では、ミクロン単位のスペーサー管理や真空脱泡接着などを用い、均一かつ強固な接合を実現してから加工機に載せます。
・残留応力の除去: 接合直後のワークは、接着剤の硬化収縮や圧入による応力を持っています。これを放置して加工すると、時間の経過とともに「反り」が発生します。適切なアニーリング(焼き鈍し)やエージング処理を行い、寸法を安定化させます。

 

バリ処理の難しさと解決策

金属のバリは硬く、樹脂のバリは粘り強い。この二つが混在する境界部のバリ取りは至難の業です。

・マシニング上のバリ取り: 面取りカッターを使用する際、樹脂側に過度な食い込みが発生しないよう、Z軸方向の補正を厳密に行います。
・手仕上げの技: 機械で取りきれない微細なバリは、熟練技能者が顕微鏡下で処理します。樹脂を傷つけずに金属のバリのみを除去する、あるいはその逆を行うには、ナイフの角度一つに長年の勘が求められます。

 

クーラント(切削油)の選定問題

樹脂の中には、特定の油分を吸って膨潤(膨らむ)したり、ソルベントクラック(薬液による割れ)を起こしたりするものがあります(例:ポリカーボネートやABSなど)。

・油性 vs 水溶性: 金属加工には潤滑性の高い油性が有利ですが、樹脂への攻撃性を考慮し、当社では樹脂への影響が極めて少ないソリュブルタイプや、シンセティック系の水溶性クーラント、あるいはドライ加工(エアブローのみ)を材質ごとに使い分けます。
・洗浄工程: 加工後の洗浄液も同様に厳選し、残留油分による経年劣化を防ぎます。

 

 

第4章:加工事例(Experience)

ここでは、実際に手掛けた加工事例をご紹介します。
※守秘義務およびプライバシー保護のため、内容は一部変更しています。

 

事例1:半導体搬送装置向け ハイブリッド・ガイドブロック

【材質】

・ベース:SUS304(ステンレス鋼)
・摺動部:超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)

【課題】
青色の樹脂ブロックとステンレスベースが完全に接着された状態で、「上面の平面度0.03mm以内」「両側面との直角度0.05mm」かつ「金属と樹脂の継ぎ目に段差なきこと(フラッシュサーフェス)」という厳しい要求がありました。
ステンレスは熱伝導が悪く加工熱を持ちやすい一方、ポリエチレンは熱膨張が大きく、かつ柔らかいため変形しやすい難物です。初期の試作(他社加工)では、加工直後は良くても、検査室に持ち込むと樹脂が収縮し、金属部分が出っ張る段差が発生していました。

【解決策】

1. 工程分割と応力解放: ブロック材の状態での荒加工後、接合を行い、その後数日間の静置(エージング)を実施して接着応力を緩和。
2. 温度同調加工: 仕上げ加工室の温度を23℃±0.5℃に保ち、ワーク、治具、工作機械を長時間馴染ませました。
3. カッティング戦略: 樹脂の発熱を抑えるため、極めて鋭利なハイレーキの超硬エンドミルを使用し、切込み量を微細に設定。クーラントによる冷却を重点的に行いました。
4. 段差ゼロへのアプローチ: 最終仕上げでは、樹脂の「逃げ」を見越して、樹脂側を数ミクロン単位で「残し気味」にする補正プログラムと、逆に金属側を攻めるプログラムをハイブリッドで運用。

【結果】
金属と樹脂の境界を指でなぞっても全く段差を感じない、完全なフラッシュサーフェスを実現。恒温室内での厳密な測定でも幾何公差をクリアし、クライアントの装置性能向上に貢献しました。

 

事例2:検査治具用 アルミ・MCナイロン複合パレット

【材質】

 ベース:A5052(アルミニウム)
 ネスト部:MCナイロン(青色)

【課題】
ワークをセットするネスト部分(樹脂)と、位置決めを行うベース(アルミ)の一体加工品。多数の穴加工があり、アルミの切りくずが樹脂表面に刺さる、あるいは樹脂の穴バリが取れないという外観不良が懸念されました。

【解決策】

1. 切りくず排出の制御: 樹脂加工時は強力なエアブローで切りくずを即座に吹き飛ばし、溶着や再切削を防止。
2. ドリル加工の工夫: 樹脂とアルミの重ね穴加工では、ステップフィード(ペッキング)の回数と戻り量を最適化し、長い切りくずがワークに絡みつくのを防ぎました。
3. 美しい外観: 加工後に特殊なバフ研磨工程を追加し、樹脂表面の光沢を出しつつ、微細なバリを除去。

【結果】
機能性はもちろん、検査治具としての「使い心地」や「視認性」を高める美しい仕上がりで納品。リピートオーダーをいただく定番製品となりました。

 

 

第5章:関東精密の品質保証体制(Trustworthiness)

どれほど優れた加工技術があっても、それを証明する検査体制がなければ「品質」とは言えません。

 

1. 国家資格保有者による検査

当社には、機械加工技能士や検査技能士のプロフェッショナルが在籍しています。図面の幾何公差(位置度、平面度、輪郭度など)を正しく解釈し、適切な測定方法を選択する能力があります。

 

2. トレーサビリティの確保

使用した材料のミルシート(鋼材検査証明書)から、使用測定器の校正証明書まで、全ての履歴を追跡可能な状態で管理しています。航空宇宙や医療分野で求められる厳格なドキュメント管理にも対応可能です。

 

3. 三次元測定機と画像測定機のハイブリッド運用

接触圧による変形が懸念される樹脂部は画像測定機で非接触測定を行い、剛性が必要な金属基準面は三次元測定機でタッチプローブ測定を行うなど、部位に応じた最適な測定プロトコルを確立しています。

 

 

第6章:よくあるご質問(Q&A)

金属・樹脂複合加工に関して、現場の設計者様から頻繁にいただくご質問をまとめました。

 

Q. 図面がなく、手書きのスケッチや現物しかないのですが、製作可能ですか?

A. はい、可能です。当社では3D CAD/CAMを完備しており、スケッチからのモデル作成や、現物を測定して図面化するリバースエンジニアリングにも対応しています(※リバースエンジニアリングは別途お見積りとなる場合があります)。

 

Q. 金属と樹脂の支給材での加工はお願いできますか?

A. 対応可能です。ただし、異種材料の接合済み支給材の場合、接合強度や接着剤の種類によっては加工時に剥離するリスクがあるため、事前に詳細な打ち合わせをさせていただきます。

 

Q. 樹脂の種類が決まっていないのですが、提案してもらえますか?

A. 大歓迎です。使用環境(温度、薬品、荷重、摺動条件)をお伺いし、最適なエンジニアリングプラスチック(PEEK, POM, ナイロン, テフロン等)と金属の組み合わせをご提案します。

 

Q. 試作1個からでも対応してもらえますか?

A. もちろんです。株式会社関東精密は「試作・単品加工」を得意としています。1個の試作から量産前の小ロット生産まで、柔軟に対応いたします。

 

Q. 納期はどのくらいかかりますか?

A. 通常、材料手配を含めて2週間〜3週間程度を目安としていますが、お急ぎの場合は特急対応も相談可能です。工場の稼働状況によりますので、まずはお問い合わせください。

 

Q. 金属と樹脂の段差をゼロにすることは物理的に可能ですか?

A. 「特定の温度環境下」であれば限りなくゼロ(測定限界以下)にすることは可能です。ただし、温度変化により必ず段差は生じますので、使用環境温度をお伝えいただければ、その温度で段差が最小になるように加工温度を調整するご提案も可能です。

 

Q. 遠方(神奈川県外)からの依頼でも大丈夫ですか?

A. 全国対応しております。ZoomやTeamsを用いたオンライン打ち合わせも可能ですし、製品は宅配便にて厳重に梱包して発送いたします。東京都、川崎市、相模原市などの近隣はもちろん、北は北海道から南は沖縄まで取引実績がございます。

 

Q. 接着ではなく、ボルト締結などの複合部品も対応できますか?

A. はい、対応可能です。締結部品の場合、座面の平面度や穴ピッチの精度が重要になります。組立まで含めた一貫対応も承ります。

 

Q. 樹脂部分に追加工だけをお願いすることはできますか?

A. 可能です。既存の金属部品への樹脂埋め込み加工や、市販のガイド部品への追加工などもご相談ください。

 

Q. 検査データはもらえますか?

A. はい、ご要望に応じて検査成績書を発行いたします。幾何公差の測定結果や、材料証明書の写しも添付可能です。

 

 

第7章:結論・製造業の未来を支えるパートナーとして

異種材料複合部品(マルチマテリアルパーツ)は、軽量化、高機能化、高性能化が進む現代のモノづくりにおいて、避けては通れない技術領域です。
しかし、その加工には「金属加工の知識」と「樹脂加工の知識」、そしてそれらを統合する「接合・組立・測定のノウハウ」という、極めて広範囲な専門性が求められます。

安易な加工業者選びは、納品後のトラブル(剥離、割れ、寸法変化)に直結します。
だからこそ、設計段階から相談できる「技術的パートナー」が必要です。

 

株式会社関東精密は、横浜・都筑区の地で長年にわたり培ってきた技術力で、皆様の「実現したい機能」をカタチにします。
難削材、複雑形状、そして異種材料複合加工。他社で断られた案件こそ、私たちにお任せください。

 

日本の製造業を支えるプロフェッショナルの皆様と共に、まだ見ぬ革新的な製品を生み出すことを楽しみにしています。

 

 

お問い合わせ・ご相談

図面がない構想段階でのご相談も歓迎します。
金属と樹脂の複合加工、難削材の加工限界でお困りの際は、ぜひ株式会社関東精密へお問い合わせください。
技術スタッフが誠心誠意、最適解をご提案いたします。

企業名: 株式会社関東精密
住所: 神奈川県横浜市都筑区池辺町4826-2
公式サイト: [https://kanto-seimitsu.jp/](https://kanto-seimitsu.jp/)

 

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