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薬機法の制約を超えずに医療品質を実現する。「製造用治具」と「実験ツール」の設計・製作で支える医療機器開発の裏側

開発、設計
医療分野
2026.01.16

▼ こんな方に読んでほしい

・カテーテルやインプラントの組立・検査工程で使う「専用治具」の内製に限界を感じている、医療機器メーカーの生産技術者の方
・大学や研究機関で新規医療デバイスの基礎実験に必要な、市販されていない「特殊な実験器具」や「評価治具」をお探しの研究者の方
・医療機器の製造は薬機法の許可工場に委託しているが、その工場に持ち込むための「生産設備」や「搬送トレイ」の調達先にお悩みの開発購買担当者の方


 

 

1. 序論:医療機器開発における「聖域」と「現場」の隔たり

医療機器の開発・製造は、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性を確保する法律)によって厳しく管理されています。
クラス分類、製造販売業許可、製造業登録、QMS省令への適合といった高いハードルは、患者様の安全を守るための「聖域」であり、絶対的なものです。

しかし、その聖域を一歩出た「製造現場」や「研究室」の実情はどうでしょうか。

 

・「カテーテルの先端接着を手作業で行うとばらつきが出るため、固定する道具が欲しい」
・「インプラントを傷つけずに洗浄機に入れる専用カゴが必要だ」
・「生体組織の摩擦を測定する特殊な試験治具を作りたい」

 

これら製造や研究の現場で求められる「治具」「工具」「実験器具」の多くは、薬機法上の「医療機器」には該当しません。

これらはあくまで、ものづくりのための「道具」や「設備」だからです。

 

ここに大きな「需給のミスマッチ」があります。

 

医療機器メーカー様は「医療グレードの品質(クリーン、高精度、トレーサビリティ)」を求める一方で、一般の治具屋は「医療は怖い」と手を出せず、医療機器製造許可を持つ工場は「治具の設計製作」まで手が回らないことが多いのが現状です。

株式会社関東精密は、この「法規制の隙間」こそ、私たちの技術を最大限活かせるフィールドだと考えています。

 

「薬機法の許可はありませんが、医療品質の治具は作れます」

 

本記事では、医療機器の「中身」ではなく「作り方(プロセス)」を支援する、私たちの治具設計・製作サービスについて解説いたします。

 

 

2. 薬機法に「触れない」領域とは?私たちが提供できる3つの支援

まず、私たちが法的リスクなく全力でご支援できる領域を明示します。これらは、製造販売業者様がQMS体制下で管理する「設備・器具」として位置づけられるものです。

(1) 製造・組立工程の「専用治具」

・カテーテルやガイドワイヤーの組立治具
・ステントの拡張・検査用マンドレル
・樹脂部品のゲートカット治具、圧入治具、UV接着固定治具

これらは最終製品の一部ではありませんが、製品の品質(均一性)を左右する極めて重要な要素です。

 

(2) 検査・測定工程の「ゲージ・評価治具」

・製品寸法の合否判定用総型ゲージ(GO/NO-GOゲージ)
・内視鏡の湾曲耐久試験用繰り返し曲げ試験機
・人工関節の摩耗試験用ワーク保持治具

これらは製品の信頼性を証明するための重要なツールとなります。

 

(3) 搬送・洗浄工程の「トレイ・バスケット」

・クリーンルーム内で使う発塵のない搬送パレット
・超音波洗浄機対応の水切れの良いパンチングメタル製バスケット
・滅菌工程(オートクレーブ等)に耐える耐熱・耐薬品性トレイ

 

 

3. 「医療グレード」の治具設計:一般治具との違い

たとえ薬機法の対象外であっても、求められる品質は一般産業機械とは異なります。私たちが設計・製作時に徹底している「医療スペック」のポイントをご紹介します。

【ポイント1:異物混入(コンタミネーション)の徹底排除】
医療機器製造現場では、油分や金属粉の付着は許されません。

・オイルフリー加工への配慮:
加工後の脱脂洗浄はもちろん、油分が染み込みにくい材料(SUS316L、チタン、PEEKなど)を選定します。治具構造も汚れが溜まりにくく洗浄しやすい「サニタリー設計」を採用しています。
・異種金属接触腐食の防止:
チタン製インプラントを鉄製治具に置くと腐食や変色が起きる恐れがあるため、接触部には医療用POM、PEEK、あるいは同種金属など、影響を与えない材質を使用します。

【ポイント2:バリデーションを支える「再現性」の確保】
医療機器製造では、IQ、OQ、PQといったプロセスバリデーションが必須です。
そのため治具には、「いつ誰が使っても同じ結果を出す」ことが求められます。

・人によるばらつきの排除:
「手で押さえて接着」するのではなく、バネ圧で一定の力で固定される機構を設計し、OQ/PQでのデータばらつきを抑制します。
・校正可能な設計:
摩耗を考慮し、定期校正がしやすい構造や、摩耗部品の簡単交換が可能なカートリッジ構造を採用しています。

【ポイント3:クリーンルーム対応の表面処理】
クリーンルーム用治具に塗装やメッキの剥がれ(発塵)は許されません。

・不動態化処理(パシベート):
ステンレス治具には、表面耐食性を高め金属イオン溶出を防ぐ処理を推奨しています。
・電解研磨:
表面の凹凸を化学的に溶かして平滑化し、汚れの付着防止と洗浄性の向上を図ります。
・アルマイト処理(封孔処理済み):
アルミ部品は耐食性の高いアルマイト処理と封孔処理を施し、アウトガスや腐食を防止します。

 

 

4. 事例紹介:研究室の「手書きスケッチ」を量産工場の「標準設備」へ

ある医療機器ベンチャー企業様から、このようなご相談をいただきました。
「研究室でピンセットと接着剤を使い、顕微鏡下で手作りしている新カテーテルの試作を、量産化に向けてパートの方でも作業できる治具にしてほしい」

【課題】

・直径0.5mm以下の極細チューブと微細センサー部品の取り扱い。
・接着剤の塗布量が厳密で、多すぎるとはみ出し、少なすぎると強度不足になる。
・静電気で部品が手に付着し、セットが困難。

【当社のソリューション】
(1) 微細位置決めステージ設計
マイクロメータヘッド搭載のXYZ軸微調整治具を設計。V溝ガイドに乗せるだけで、接着位置がミクロン単位で決定できるようにしました。
(2) 定量塗布ガイド
ディスペンサー針が通るガイド溝を設け、誰が作業しても一定の位置・高さから接着剤を滴下可能にしました。
(3) 除電対策
主要パーツに導電性PEEKを採用。樹脂でありながら電気を通すため、静電気をアースへ逃がしつつ、ワークを傷つけずに保持します。

【結果】
熟練の研究員の方だけが可能だった作業が、一般作業者の方でも可能になりました。この治具は量産工場の標準設備となり、バリデーションデータ取得にも貢献しています。

 

 

5. よくある質問(FAQ)

Q1:治具の図面がなくても、ポンチ絵や口頭相談で大丈夫ですか?

A1:大歓迎です。研究開発段階では仕様が未確定なことも多いかと思います。「何をしたいか(目的)」と「ワーク(現物)」があれば構想図を描きご提案します。医療用語や特有の要件も理解しておりますので、安心してご相談ください。

 

Q2:チタンや形状記憶合金(ニチノール)など難削材の加工は可能ですか?

A2: 私たちの得意分野です。医療機器で多用される64チタン、コバルトクロム、ニチノール、PEEK、ポリサルフォン、超高分子量ポリエチレンなど、多数の加工実績がございます。材料特性に合わせた工具選定と加工条件で、高精度な部品をご提供いたします。

 

Q3:秘密保持契約(NDA)は結べますか?

A3:もちろんです。医療機器開発は特許やノウハウの宝庫であり、機密保持は生命線だと理解しています。初期段階からNDAを締結し、情報管理を徹底いたします。

 

 

6. 結論:私たちは「医療機器メーカー」にはなれませんが、「最高のパートナー」にはなれます

株式会社関東精密は、薬機法の製造販売業許可を持たないため、皆様のブランドで販売される医療機器本体を最終製品として出荷することはできません。

しかし、その医療機器が生まれるまでの「全てのプロセス」においては、最強のサポーターになれると自負しています。

研究室の実験器具から、量産ラインの組立治具、品質保証の検査ゲージまで。
「法規制」という壁の内側で戦う皆様を、「技術」と「ノウハウ」という武器で壁の外側から全力支援するのが私たちの立ち位置です。

「こんな治具があれば、もっと安全に、もっと安定して作れるのに」

その想いを、ぜひ私たちにお寄せください。
医療の未来を創るのは皆様の情熱であり、それを形にするのは私たちの技術です。

 

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