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いのちを支える金属加工。医療機器調達のプロが求める「図面に描けない品質」と、それを実現する技術パートナーの条件

開発、設計
マシニング加工
5軸マシニング加工
2026.01.07

▼こんな方に読んでほしい
・ インプラント、手術器具、診断装置などの部品調達を担当しており、一般工業製品とは異なる「医療グレード」の品質管理に神経を尖らせている購買・調達責任者
・ チタンやSUS316L、PEEKといった難削材・医療用樹脂の加工において、バリやコンタミ(異物混入)のトラブルに悩まされている品質保証担当者
・ 試作段階から量産を見据え、バリデーション(妥当性確認)プロセスをスムーズに進めたいと考えている医療機器開発エンジニア


 

 

◆1. その部品は、誰かの体の一部になるかもしれない

製造業において「品質」は常に最重要事項ですが、医療機器業界におけるそれは、全く異なる重みを持ちます。
産業機械のボルトが折れれば、機械が止まります。しかし、体内に埋め込まれたボルトが折れれば、それは患者様の健康、あるいは生命に関わる重大な事故となります。

医療機器メーカーの購買担当者様とお話しする際、私たちは常にその「重圧」を共有します。
「コストダウンはしたい。でも、品質リスクは0.01%も上げられない」
「図面には書けないけれど、絶対に傷をつけてはいけない面がある」

皆様が探しているのは、単に安く削ってくれる下請け工場ではないはずです。
QMS(品質マネジメントシステム)の厳格さを理解し、ISO 13485に準拠するような管理体制の重要性を認識し、そして何より、「この部品の先には患者様がいる」という倫理観を持ってモノづくりに向き合える、真の技術パートナーではないでしょうか。

本記事では、私たち関東精密工業所が、医療機器部品の加工において、どのような哲学と技術ノウハウを持って、皆様の「安心」を支えているかをお話しします。

 

 

◆2. 敵はミクロン単位の「バリ」。脱落を許さない執念の仕上げ技術

医療用部品、特に血管内治療(カテーテルなど)やインプラント部品において、最大の敵は「バリ」です。
もし、加工後に残った微細な金属片が、手術中や体内で脱落したらどうなるか。血管を詰まらせ、組織を傷つけ、取り返しのつかない事態を招きます。

一般的な部品加工では「糸面取り(C0.1〜C0.2)」などの指示でバリを除去しますが、医療部品では、それすら許されない「エッジの鋭利さ」と「バリレス」の両立を求められることがあります(例:骨を削るドリルや、組織を切るハサミなど)。

【私たちの取り組み:バリを出さない、そして残さない】
私たちは、バリを「後から取るもの」と考える前に、「出さないように削る」ことに全力を注ぎます。

(1) ツールパスの最適化
エンドミルがワークから抜ける瞬間にバリは発生します。私たちは5軸加工機を駆使し、工具の進入・退出角度を制御して、バリが極小になる切削パスをプログラムします。

(2) 顕微鏡レベルの検査と仕上げ
肉眼では見えないバリも、マイクロスコープ下では山のように見えます。私たちは、高倍率の拡大鏡を用いた全数検査体制を敷き、必要であれば熟練技能者による手仕上げ、あるいは特殊なバレル研磨や電解研磨工程と連携し、バリの根絶を保証します。

 

◆3. チタン、PEEK、SUS316L。生体適合材料への「敬意」ある加工

医療機器には、錆びにくく、アレルギーを起こしにくい特殊な材料が使われます。
チタン合金(Ti-6Al-4V ELI)、サージカルステンレス(SUS316L)、コバルトクロム合金、そして高機能樹脂のPEEK材などです。
これらは、加工者泣かせの「難削材」であるだけでなく、取り扱いに極めて繊細な配慮を要します。

【コンタミ(異物混入)の徹底排除】
例えば、チタン製のインプラント部品を加工した後に、鉄粉が舞う環境に放置すれば、表面に鉄が付着し「もらい錆」の原因になります。
また、PEEK材の加工時に、油性の切削油が染み込めば、洗浄しても落ちず、滅菌工程でトラブルになる可能性があります。

私たちは、医療部品専用の工程管理を行っています。
・ 工具の使い分け:鉄系材料を削った工具で、チタンを削ることはありません。クロスコンタミネーションを防ぎます。
・ 切削油の管理:洗浄性が高く、残留しにくい植物性由来や水溶性のクーラントを選定し、加工後の脱脂・洗浄工程の負荷を下げます。
・ 樹脂専用の刃物:PEEK材などの樹脂加工には、金属加工用とは刃先の鋭利さが異なる専用工具を使用し、構成刃先による溶着や、マイクロクラック(微細なひび割れ)の発生を防ぎます。

 

◆4. トレーサビリティ:素材の「出生証明」から出荷まで

医療機器のバリデーションにおいて、最も問われるのが「トレーサビリティ(追跡可能性)」です。
万が一の不具合発生時、「いつ、どのロットの材料を使い、どの機械で、誰が加工したのか」を即座に特定できなければなりません。

私たちは、単にモノを作るだけでなく、その「履歴」を管理します。
・ ミルシート(材料証明書)の完全紐付け
入荷した材料には即座に管理番号を付与し、現品票とミルシートを紐付けます。「端材」になったとしても、その材料がどのロットであるかは常に追跡可能です。
・ 加工履歴の記録
使用した測定器の校正記録、加工時の寸法データ、熱処理や表面処理の証明書。これらを一元管理し、製品と共にお客様へ提出できる体制を整えています。

これは面倒な事務作業ではなく、私たちが提供する「品質」の一部です。

 

◆5. 試作から量産へ。「再バリデーション」を防ぐVA/VE提案

医療機器開発の大きなハードルの一つに、許認可に関わる「変更管理」の難しさがあります。
試作段階で作った工法が、量産段階で「コストが合わないから」と変更になれば、再度、IQ/OQ/PQ(据付時適格性確認、運転時適格性確認、性能適格性確認)といった膨大な検証作業が必要になるリスクがあります。

だからこそ、私たちは「試作の段階」から、量産を見据えた提案を行います。
「この複雑な形状、試作では5軸で削り出せますが、量産でコストを下げるなら、今のうちにここを分割構造にしておきませんか?」
「この公差、機能上必須でなければ、緩めておかないと、量産時の歩留まりが悪化して供給リスクになりますよ」

開発の初期フェーズから、加工のプロとして参画させていただくことで、将来的な「設計変更(手戻り)」のリスクを最小化します。
私たちは、お客様がスムーズに薬事承認をクリアし、安定して製品を市場に供給し続けられるよう、黒子として支えます。

 

◆6. 結論:私たちは、医療チームの一員であるという自覚

手術室でドクターが手にする鉗子。
患者様の骨を支えるプレート。
検体を分析する装置のノズル。

私たちが削り出す金属や樹脂の塊は、工場を出た後、誰かの「いのち」や「健康」を守る使命を帯びます。
その重みを知っているからこそ、私たちは妥協しません。

図面に「バリなきこと」と一行書いてあれば済む話ではありません。
その一行の裏にある、「絶対に患者様を傷つけてはならない」という想いを汲み取り、具現化するのが私たちの仕事です。

医療機器の部品調達でお悩みの皆様。
難削材の加工、微細形状の実現、そして厳格な品質管理。
その課題を、ぜひ私たちにご相談ください。
株式会社関東精密は、高い技術力と深い倫理観を持って、貴社の医療機器開発を支える、信頼できるパートナーとなります。

 

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