研磨加工品のアッセンブリまで一貫対応。工程間の「見えないリスク」を減らすために

精密部品の調達担当者様や設計者様の中には、加工工程ごとに別々の業者へ依頼する「横持ち」の手間に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
切削は得意な加工屋さんへ、熱処理は専門業者へ、そして仕上げの研磨はまた別の会社へ。
最後に社内で組み立てようとしたとき、
「ピンが入らない」
「平面度が微妙に狂っている」
と、いったトラブルに直面した経験はありませんか?
今回は、実際に弊社で手がけた事例写真を交えながら、研磨加工と組立(アッセンブリ)を一貫して管理することの重要性についてお話しします。
写真の製品は、複雑な形状に切削加工を施した後、平面研磨を行い、さらに位置決め用のピンを圧入・組立したものです。この一枚のプレートには、実は多くの「品質管理の勘所」が詰まっています。
まずご注目いただきたいのが、表面の仕上がりと穴加工の関係です。
高い平面度が要求される部品の場合、研削加工は不可欠ですが、その前後にある穴あけや座ぐり加工との位置関係をどう保証するかが課題になります。工程が分断されていると、研磨代(とりしろ)の認識ズレにより、最終的な穴の深さや面取りの大きさが図面と異なってしまうリスクがあります。
次に、写真右側に見える2本のノックピンにご注目ください。
研磨加工された面に対して垂直に、かつ指定された公差でピンを圧入するには、非常に繊細な作業が求められます。もし穴径がわずかでも小さすぎれば、無理に押し込むことで研磨面に歪みが生じたり、プレート自体が変形したりする恐れがあります。逆に緩ければ、精密部品としての機能を果たしません。
これを解決するのが、加工から組立までの一貫対応です。
私たちような加工業者が、最終的な組立状態(アッセンブリ)をゴールとして全工程を管理する場合、以下のようなメリットが生まれます。
1. 研磨を見越した切削加工
最終的にどれくらい研磨で落とすかを正確に計算し、切削段階から寸法を調整します。これにより、組立時に「寸法が足りない」という事態を防ぎます。
2. 嵌合(かんごう)調整の最適化
ピンやブッシュなどの圧入部品について、実測値に合わせた穴加工を行う、あるいは穴に合わせてピンを選定するといった「現物合わせ」の微調整が可能になります。これは図面上の数値だけでは管理しきれない、現場の職人技が光る領域です。
3. 物流リスクと管理コストの削減
製品が工場間を移動する回数が減れば、それだけ輸送中の打痕やキズのリスクが減ります。また、複数の業者に対する発注・納期管理の手間も大幅に削減できます。
写真のような変形しやすい形状のプレートであっても、適切な工程設計があれば、歪みを抑えつつ高精度に仕上げることが可能です。
「研磨上がりの部品を支給して組み立ててもらうのは不安」
「組立後の精度保証まで含めて相談したい」
もしそのようなお悩みをお持ちでしたら、単なる加工だけでなく、その先の「組立」までを見据えたご提案ができるパートナーを選ぶことが、解決への近道かもしれません。
図面一枚から、完成品としての機能を保証する。私たちはそんなものづくりを目指しています。難形状や複合加工品のアッセンブリについても、ぜひ一度ご相談ください。












