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その治具、切削加工だけで本当に完成ですか?異分野の専門技術を融合させる“ネットワーク型”治具開発とは

治具
開発、設計
5軸マシニング加工
2025.09.05

その先進的な設計、技術の「サイロ」に阻まれていませんか?

 

「この部品の基本形状は、5軸加工で精密に削り出したい。しかし、この微細な穴は、物理的にドリルでは不可能で、レーザー加工が必要だ…」
「摺動性を高めるため、金属部品の表面に、DLCコーティングという特殊な表面処理を施したい。でも、どこの誰に頼めばいいのか見当もつかない…」
「高精度に加工した治具のベースに、荷重を測定するロードセルと、位置を検出する光電センサーを組み込んで、電気的に制御したいのだが…」

 

製品の高性能化、高機能化を追求すればするほど、その実現に必要な技術は、一つの企業の守備範囲をたやすく超えていきます。「精密機械加工」

「NC旋盤加工」

「レーザー加工」

「表面処理」

「電子制御」

等々…。これらは、それぞれが深く、専門的な知識と設備を要する、独立した技術分野(サイロ)です。

 

そして、多くの開発担当者が、この「技術のサイロ」の壁の前で立ち往生してしまいます。

 

・切削加工の専門家は、「レーザーのことは分かりません」と言い、

・レーザー加工の専門家は、「機械加工の図面公差の解釈は専門外です」と答える。

 

その間で、あなたは孤独な「翻訳者」兼「プロジェクトマネージャー」となり、成功の保証もないまま、不慣れな調整業務に奔走することになるのです。

 

もし、あなたの「やりたいこと」を実現するために最適な専門家チームを、誰かがあなたに代わって編成し、責任を持ってプロジェクトを率いてくれるとしたら?
本記事では、私たちの核心的な能力の一つ、【異分野の専門技術を融合させる「ネットワーク型」治具開発】についてお話しします。

 

 

なぜ、専門技術の「組み合わせ」はこれほど難しいのか

複数の専門技術を組み合わせるプロジェクトが失敗しやすいのには、明確な理由があります。それは、個々の技術レベルの問題ではなく、「技術と技術の境界(インターフェース)」に潜むリスク管理の難しさに起因します。

 

リスク1:技術言語と文化の壁

各技術分野には、独自の「言語」と「常識」が存在します。機械加工の世界で当たり前の「幾何公差(GD&T)」の概念が、表面処理の現場では十分に通用しないこともあります。加工屋が意図した「基準面(DATUM)」の情報が、レーザー屋には正しく伝わらず、全く異なる場所を基準に加工してしまい、位置関係が全て狂ってしまう、といった事故は後を絶ちません。

 

リスク2:品質責任の「空白地帯」

この問題は、以前のブログでも触れてきましたが、異分野技術の組み合わせでは、さらに深刻化します。
例えば、「精密加工したベースに、支給されたセラミック部品を組み込む」という工程を考えてみましょう。

いざ組み付けようとしたら、入らない。原因は、ベースのポケットが0.01mm小さかったのか、それともセラミック部品が0.01mm大きかったのか。あるいは、双方の公差が最悪の組み合わせで重なったのか。
それぞれの業者は「自社の図面公差は守っている」と主張し、【その境界領域で発生した不具合に対する責任の所在】が、完全に宙に浮いてしまうのです。

 

 

リスク3:探索と評価の壁 -「名医」を見つける難しさ

そもそも、「この特殊な要求に応えてくれる、本当に信頼できる専門業者はどこか?」を見つけ出すこと自体が、非常に困難なタスクです。インターネットで検索すれば、無数の業者が見つかりますが、その技術レベル、品質管理体制、納期遵守の意識までを、事前に見抜くことはできません。間違ったパートナーを選んでしまえば、プロジェクト全体が頓挫するリスクさえあります。

 

 

「ハブ&スポーク」で実現する、統合型モノづくり

私たちは、これらの根深い課題を解決するため、自社を「ハブ(中核)」とし、各分野の専門家である協力工場を「スポーク(車輪の骨)」とする、「ハブ&スポーク型」のプロジェクト推進体制を構築しています。お客様の窓口は、常にハブである私たち一つです。

 

◆実現可能性の調査と、最適なチームの編成(フィージビリティスタディ)

お客様から、複数の専門技術を要するご相談をいただいた場合、私たちはまず、社内の技術者と、長年かけて築き上げてきた、専門家ネットワークの頭脳を結集させ、合同で「作戦会議」を開きます。
「この要求は、技術的に実現可能か?」
「機械加工とレーザー加工、どちらを先に行うべきか?」
「この二つの工程を繋ぐ上で、最大のリスクは何か?」
この初期段階での多角的な検討が、プロジェクトの成否を分けます。私たちは、この検討に基づき、今回の課題解決に最も適した専門家(企業)を選定し、お客様のためだけのドリームチームを編成します。

 

◆境界を定義する「統合工程設計」

チームが固まったら、次にプロジェクト全体のマスタープランとなる「統合工程設計書」を作成します。ここでの私たちの最も重要な役割は、技術と技術の「境界条件」を、誰の目にも明確な形で定義することです。

例えば、機械加工部品に、パートナー企業がDLCコーティングを施す場合、

「コーティングの膜厚(1μm)を考慮し、我々はその分だけアンダーサイズ(-0.001mm)で加工しておく」

「コーティングが付着してはならないネジ穴は、マスキング用の栓をこちらで製作して、部品と共に支給する」

と、いった、具体的な指示書や、時には専用の治具まで用意します。

これにより、パートナー企業は迷いなく、自身の専門技術に集中できるのです。

 

◆私たちが「現場監督」となる、能動的な品質・進捗管理

私たちは、パートナー企業に仕事を発注した後、「あとはよろしく」と待つことは決してありません。

プロジェクト全体の成功に責任を持つ「現場監督」として、能動的に関与します。
・定期的な進捗確認と、現場での打ち合わせ
・中間成果物に対する、私たちの基準での受入検査
・万が一のトラブル発生時の、迅速な原因究明とリカバリー策の立案

私たちは、パートナー企業の仕事を「外部の仕事」とは考えません。

それは、私たちの生産ラインの延長線上にある、一つの重要な「工程」なのです。

 

よくある質問(FAQ)

Q1. どのような専門技術のネットワークを持っているのですか?

A1. 私たちのネットワークは、お客様の高度な要求と共に、日々進化・拡大しています。

具体的には、以下のような分野の、トップクラスの技術を持つ企業と強固なパートナーシップを築いています。

・精密切削加工
・各種レーザー加工(微細穴、切断、溶接、マーキング)
・積層造形(AM)(金属3Dプリンターによる複雑形状・内部構造の造形)
・超精密研磨・ラップ(鏡面仕上げ、超平坦仕上げ)
・各種薄膜・コーティング(DLC、TiN、セラミックコーティングなど)
・特殊接合技術(真空ロウ付け、拡散接合など)
・センサー組込・電気制御(PLC制御、簡単なハーネス製作など)

 

Q2. 専門業者と直接取引するのと比べて、メリットとデメリットは何ですか?

A2. お客様が直接取引する最大のメリットは、中間マージンがなく、理論上はコストを抑えられる可能性がある点です。

しかし、デメリットとして、本記事で述べた「技術の翻訳」「品質責任の所在」「進捗管理」といった、全てのプロジェクトマネジメント業務とリスクを、お客様自身が負うことになります。
私たちにご依頼いただくメリットは、その煩雑でリスクの高い業務を、専門家として全て代行し、お客様には「単一の窓口」と「保証された最終成果物」という安心感を提供できる点にあります。

 

Q3. パートナー企業の品質は、どのように担保しているのですか?

A3. 私たちのネットワークに参加しているのは、一朝一夕で見つけてきた業者ではありません。長年にわたる厳しい要求のやり取りの中で、その技術力、品質管理体制、そして何よりも「モノづくりに対する真摯な姿」を、私たちが認めた企業だけです。私たちは、定期的な情報交換や監査を行うと共に、全てのプロジェクトにおいて、パートナーから納品された成果物を、必ず私たちの品質保証部門が検査します。私たちの基準をクリアしない限り、次の工程には進めません。最終製品に「関東精密工業所の名前で」責任を持つ以上、パートナーの品質は、私たちの品質そのものだと考えています。

 

 

その挑戦的なアイデア、チームで実現しませんか?

もはや、一つの企業の力だけで、世の中を驚かせるようなイノベーションを生み出すことは困難な時代です。重要なのは、自社のコア技術を磨き上げると同時に、その技術を、他の優れた才能と、いかにして効果的に「繋ぎ」「束ねる」ことができるかです。

もし、あなたの頭の中に、既存技術の組み合わせでは実現不可能な、挑戦的な製品や装置のアイデアがあるのなら。
もし、その実現のために、どんな専門家を探し、どう協力を仰げばいいのか分からずに、一歩を踏み出せないでいるのなら。

その構想、ぜひ一度、私たちにお聞かせください。

私たちは、あなたのアイデアを実現するための「最高のチームを編成する、監督兼プロデューサー」です。
私たちをハブとして、日本が誇る専門技術の力を結集し、まだ誰も見たことのないモノづくりを、一緒に始めませんか。

 

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