その治具、本当に「効率化」できていますか?設計段階から始める治工具開発の最適解
「今ある治具、使いにくいって現場から言われてしまった…」
「毎回、組立工数が違うのはなぜ?」
そんな声、設計者の方なら一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
試作品ではうまくいっていたのに、量産段階に入った途端、不具合・バラつき・時間のロス…。
その多くは、治具の設計段階で“ある視点”が抜け落ちていることが原因かもしれません。
目次
背景:なぜ治工具の設計が重要なのか?
治工具(治具・工具)は、製品そのものを形にする「黒子」でありながら、製造全体の品質・工数・コストに大きな影響を与えます。
【よくある問題点】
・現場で使い勝手が悪く、組立・加工に時間がかかる
・設計者と製造側の意図が噛み合わない
・3Dモルで完璧でも、加工工程を考慮していない構造が原因で失敗
・「誰でも使える」つもりが、熟練者でしか扱えない治具になっていた
なぜ失敗が起こるのか?
・設計段階で加工・組立現場の動作フローを十分にヒアリングできていない
・図面通りだが、材料の熱変形・加工誤差を加味していない
・±0.01mm以下の精度が求められるのに、工程ごとの寸法累積誤差を設計に反映していない
・放電加工・フライス・マシニングなど工法の組み合わせによる精度の違いを見逃している
解決アプローチ:
治工具設計で効率化を実現する4つのポイント
① 工法と素材の選定:
放電加工やワイヤーカットを用いる場合、硬質材(SKD11など)でも複雑形状に対応できます。
例:アンダー形状を持つワークを1チャックで完了させる放電加工×マシニングの組み合わせ。
→【JIS B 0401】に基づく公差管理の視点を取り入れることで、組み立て時の「スムーズな嵌合」を実現。
② 加工誤差と熱変形を加味した設計:
素材や加工条件によって±0.01mm以内でもズレが出ます。
→実績上、SUS材やA5052などは熱歪みが出やすいため、リブ構造や対称設計で逃がしを確保。
③ 汎用性と再現性の両立:
「この治具、次回も使えますか?」という質問にYESと答えるには、モジュール化がカギ。
→ピン位置・ストッパー・クランプの座標管理を3D空間で数値化し、複数ライン展開に対応。
④ 設計変更・段取り替え対応:
リピート生産・工程変更が発生した場合、どこまで治具が追従できるか?
→自社では3Dモデル上でシミュレーションしながら「段取り替え時間の削減案」まで提案してきた実績あり。
設計者視点でのアドバイス:
■ 加工しやすい治工具とは?
・穴あけ・切削がしやすい方向に全体を設計(加工軸・刃物の逃げを考慮)
・一方向からのクランプ固定+一方向からの開放を基本に
・±0.01mmの位置決めが必要な部位は、位置決めピンと逃げ加工の併用を
■ 材質選定での注意点:
・アルミ(A5052)は軽量・加工性は高いが、熱変形・たわみに弱い
→クランプ強度や使用回数の多い治具には不向きな場合も
・SK材・S45Cは強度面で安心だが、重量が課題になる
→オペレーターが使う現場で段取り時に運搬時のバランスが必要
■ 実例:
ある組立工程で、±0.005mm以内の位置決めが求められた高精度治具。
設計当初は「形だけ」の3Dモデルで治具を作成し、嵌合に問題発生。
→ 形状を修正し、切削・研削・焼入れを組み合わせた結果、累積誤差を最小化し量産に成功。
次にすべきこと(行動喚起)
「いま使っている治具、なんとなく不便だな」と感じたら、それは見直しのサインかもしれません。
一度、図面ができる前の段階で相談することで、加工コストや不良率を大幅に下げられる可能性があります。
試作・組立・量産、いずれの工程でも「使える治具」をつくるには、現場と設計、そして加工の視点が融合する必要があります。
今、設計段階でお悩みがある方は、まずは「どう使いたいか」からのご相談をお勧めします。