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平面研削盤の加工依頼、費用相場は?コストダウンと短納期を実現する5つのポイント

平面研削加工
2025.08.09

【コスト・納期】

「平面研削盤での加工、見積もりを取ってみたけど思ったより高い…」

「この納期、本当に間に合うのだろうか?」

「そもそも、この見積もり価格は適正なのだろうか?」

 

平面研削盤の協力工場を探している購買担当者様や設計担当者様にとって、「コスト」と「納期」は常に悩みの種ではないでしょうか。

私たちは長年にわたり、精密部品の研削加工を手掛けてまいりました。その経験から断言できるのは、平面研削盤の加工コストと納期は、発注者様と私たち加工業者の少しの工夫で、大きく改善できるということです。

この記事では、皆様が抱えるコストと納期の不安を解消するために、

  • ・平面研削盤の加工費用が決まる仕組み

  • ・気になる費用相場の一例

  • ・今日から実践できるコストダウンの5つの秘訣

  • ・特急依頼の前に試したい、納期短縮の3つのコツ

を、プロの視点から分かりやすく解説します。この記事を読み終える頃には、「なるほど、次はこうやって依頼してみよう!」と、具体的なアクションプランが見えているはずです。

 

そもそも平面研削盤の加工コストは何で決まる?費用を構成する5つの要素

 なぜ、同じような部品でも加工会社によって見積もり金額が違うのでしょうか。それは、コストの算出方法や得意な加工が異なるからです。まずは、加工費用がどのような要素で決まるのかを知ることが、コストダウンへの第一歩です。

主に、以下の5つの要素が組み合わさって費用が決定されます。

 

①加工時間

文字通り、機械が製品を削っている時間です。これはコストに直結する最も大きな要素で、主に以下の内容で変動します。

  • 材質: S50Cのような一般的な鋼材か、ステンレス(SUS)やインコネルのような「難削材」か。硬い材料や粘りがある材料は加工に時間がかかります。

  • 削り代(けずりしろ): 除去する金属の量です。削る量が多ければ、その分だけ時間がかかります。

  • 要求精度・面粗度: μm(ミクロン)単位の厳しい公差や、鏡のようにピカピカな面(面粗度)が求められる場合、仕上げ加工に慎重さと時間を要します。

 

②段取り時間

加工を始める前の準備時間のことです。製品を機械に固定するための専用工具(治具)の製作や、複雑な形状に合わせたセッティングなど、一つひとつの準備が時間となり、コストに反映されます。

 

③材料費

製品そのものの材料費です。お客様から材料を支給いただく「支給材」か、私たちが手配する「材料込み」かで見積もりが変わります。

 

④管理工数

検査項目が多い、特別な品質保証書類が必要など、加工以外の管理業務にかかる工数です。三次元測定機での全数検査やミルシート(材料証明書)の提出などがこれにあたります。

 

⑤ロット数

一度に生産する数量です。1個だけの試作品と、100個の量産品では、1個あたりの段取り時間が大きく変わるため、ロット数が多ければ多いほど単価は下がる傾向にあります。

 

【当社のこだわり】

私たち【株式会社関東精密】では、お客様に納得してお取引いただくため、お見積書には可能な限りこれらの内訳を明確にするよう心がけています。「なぜこの価格なのか」がクリアになることで、お客様と一緒にコストダウンの方法を探ることができると考えているからです。

 

【相場観】ズバリ!平面研削盤の加工費用はどれくらい?

「理屈は分かったけど、結局いくらくらいなの?」という声が聞こえてきそうですね。

もちろん、形状や精度によって価格は千差万別ですが、ここでは「あくまで一例」として、よくご依頼いただく加工の費用感をご紹介します。

 

【加工費用の一例(ロット10個の場合の1個あたり単価)】

材質

サイズ

要求精度

面粗度

概算費用(円)

S50C

100×150×20mm

±0.01

Ra1.6

8,000円~

SKD11

50×100×10mm

±0.005

Ra0.8

15,000円~

SUS304

80×120×15mm

±0.02

Ra3.2

12,000円~

アルミ

200×300×30mm

±0.05

Ra1.6

18,000円~

※ご注意: 上記はあくまで参考価格です。実際の価格は、削り代や形状の複雑さ、その時の材料相場によって変動します。正確な費用については、ぜひ一度お見積もりをご依頼ください。

 

【コストダウン編】今日からできる!平面研削加工のコストを抑える5つのテクニック

ここからが本題です。少しの工夫で加工費をぐっと抑える、プロ直伝のテクニックをご紹介します。

 

①「過剰品質」になっていませんか?図面の精度を見直す

その製品、本当にμm単位の精度が必要でしょうか?図面に「とりあえず厳しい公差を」と入れてしまうと、仕上げ工程に多大な時間がかかり、コストが跳ね上がります。製品の機能として問題ない範囲で、少しだけ公差を広げてみる、面粗度の指示を一段階緩めてみる。これだけで、驚くほどコストが変わるケースがあります。

 

②図面指示を明確にする

「この部分の平面度だけは出してほしい」「基準面はここ」といった、加工上のキーポイントが図面で明確になっていると、私たちの作業がスムーズに進み、確認の手間や手戻りがなくなります。結果的に、余計な工数を削減できるのです。

 

③材料の支給を検討する

もし貴社で材料を安く仕入れられるルートをお持ちの場合、材料を支給いただくことで、材料費と私たちの手配管理費を削減できます。

 

④まとめて発注する

月に数個ずつ依頼している部品があれば、3ヶ月分をまとめて発注するなど、ロットを大きくすることで1個あたりの単価を大幅に下げることが可能です。

 

⑤設計段階から加工業者に相談する

「こんな製品を作りたいんだけど、どうすれば安くできる?」と、ぜひ設計段階から私たちのような加工のプロにご相談ください。例えば、「この角にRをつけるだけで、加工が格段に楽になりますよ」といった、加工現場ならではのVA/VE提案(価値分析・価値工学提案)が可能です。

 

【コスト削減事例】

以前、あるお客様からご依頼いただいた金型部品で、図面の一部を見直すVA/VE提案をさせていただいた結果、1個あたり約15%のコストダウンに成功した実績がございます。

 

【短納期編】「特急対応」を依頼する前に!納期を短縮する3つのコツ

「とにかく急いでほしい!」というお気持ち、よく分かります。しかし、無理な特急依頼は、現場の負担を増やし、品質低下のリスクや特急料金に繋がることも。そうなる前に、ぜひ試していただきたいコツがあります。

 

①「内示情報」を共有いただく

「来月あたりに、この部品を20個くらい頼むかも」といった、確定前の情報(内示)を早めに共有いただくだけで、私たちは材料の先行手配や生産計画の事前準備ができます。これが納期短縮に絶大な効果を発揮します。

 

②分割納品を相談する

100個の注文のうち、「まずは今週中に10個だけ欲しい」といった分割納品が可能か相談してみてください。全数が揃うのを待つよりも、早く製品を手にすることができます。

 

③信頼できるパートナーと長期的な関係を築く

単発の取引ではなく、継続的にお付き合いいただくことで、貴社の製品の特性や品質基準、繁忙期などを私たちが深く理解できます。阿吽の呼吸で仕事が進められるようになり、結果として、あらゆる面でスムーズな対応が可能になります。

 

まとめ:平面研削盤のコスト・納期でお悩みなら、【株式会社関東精密】にご相談ください

今回は、平面研削盤加工におけるコストと納期について、その内訳から具体的な改善テクニックまでを解説しました。

  • ・コストは加工時間や段取り、ロット数など複数の要素で決まる

  • ・費用感を把握した上で、過剰品質の見直しや発注の工夫がコストダウンの鍵

  • ・納期は、加工業者との密な情報連携で短縮できる

大切なのは、発注者様と私たち加工業者が、お互いの状況を理解し、協力して「より良いモノづくり」を目指すことだと考えています。

「うちのこの部品、もっと安くならないかな?」

「図面の書き方から相談に乗ってほしい」

「まずは概算の費用だけでも知りたい」

どんな些細なことでも構いません。図面がまだ完成していなくても大丈夫です。

長年の経験で培ったノウハウを活かし、貴社にとって最適な「コスト」と「納期」をご提案します。

お気軽にお問い合わせください。Webでの打ち合わせも随時対応しております。